<レスリング:世界選手権>◇4日目◇15日◇トルコ・イスタンブール

 55キロ級で吉田沙保里(ALSOK)が女子最多優勝を更新する9連覇を成し遂げたが、決勝で2008年北京五輪3位のトーニャ・バービーク(カナダ)に第2ピリオドを奪われ、2-1で辛勝する薄氷のVだった。2008年1月の女子W杯で119連勝がストップした敗戦以来、ピリオドを失う大苦戦に「負けるかと思った。ひやっとしたけれど、いい勉強になった」と話した。

 04年アテネ五輪決勝などで対戦したバービークにフェイントが通じずに「研究されていると感じた」。第1ピリオドは先取したが、第2ピリオドは終盤にタックルを切られ、体を返されて追いつかれた。

 最終ピリオドも2-0とリードを奪ったが、タックルを返されて同点で残り3秒。このまま終わってもバービークが警告を受けており、吉田の勝ちだったが「負けていると思った。必死だった」と猛然とタックルしてポイントを奪った。

 初出場した02年世界選手権からは五輪と合わせた世界大会で連勝を54に伸ばし、11大会連続で世界一となった。日本女子初の五輪3連覇に向け、不安材料が残ったが、栄監督は「すべてをパーフェクトに勝つのは難しい」とかばった。28歳の最強女王は「自分はもっと強くなれると思った」と前向きに言った。