「ジャパンエックスボウル」第25回アメリカンフットボール日本社会人選手権(特別協賛・大正製薬株式会社)が19日午後7時、東京ドームでキックオフされる。対戦は7度目の出場で6回目の社会人王座を狙うオービックシーガルズと、4度目の出場で悲願の初優勝を目指す富士通フロンティアーズ。同選手権では02年以来の顔合わせとなる。両チームを率いるのは、ともに知将として知られるオービック大橋誠(46)、富士通藤田智(44)の両ヘッドコーチ。攻守にタレントぞろいのオービック、思い切りのいいプレーが売りの富士通の各選手をどう操り、勝利を呼び込むか。熱戦の期待は高まるばかりだ。

 見事な立て直しだった。富士通は10月13日、ファーストステージ東地区の全勝対決で宿敵鹿島に16対24で敗れた。しかし、藤田HCは慌てなかった。「負けはしたが、大きな差はない。ちょっとしたパスキャッチの差だ」と即座に問題点を修正した。大きかったのは選手たちの日本一を目指す心。「みんなの気持ちがぶれなかった」。チーム一丸となって前を向いた。

 「BREAK」。今年のチームスローガンには、創部26年間立ちはだかる、社会人日本一という壁を破る気持ちを込めた。その気持ちがセカンドステージ(2S)突破をたぐり寄せた。下馬評不利の敵地大阪でのパナソニック戦(11月20日)。富士通は前半7点のビハインドで折り返した。しかし、第3Q1分43秒にQB出原からWR強(きょう)への7ヤードTDパスで同点とすると、神山、金のRB両輪が連続TDで24対10。パナソニックに引導を渡した。「大阪で勝ったのは大きかった。選手が自信を持ち、大きく成長できた」。これで良い流れができた。12月4日のファイナルステージでは、2Sで鹿島を破り勢いに乗っていたノジマ相模原ライズを、富士通はライン戦で圧倒、38対3で完勝した。

 「フットボールは最後は気持ちの勝負。けが人は関係ない」。藤田HCはノジマ戦勝利後にげきを飛ばした。相手ディフェンスに考える暇を与えない”ノーハドルオフェンス”で、富士通はオービックを翻弄(ほんろう)する。