指導していた大学の女子柔道部員を合宿先のホテルで乱暴したとして、準強姦(ごうかん)罪に問われたアテネ、北京両五輪の金メダリスト内柴正人被告(34)の論告求刑公判が26日、東京地裁(鬼沢友直裁判長)であり、検察側は「被告の倫理観、性道徳概念は破綻している」と懲役5年を求刑した。

 被告は「合意の上だった」と一貫して無罪を主張しているが、検察側は論告で「供述内容は変遷しており、不自然、不合理な点を挙げるときりがない」と指摘。「金メダリストの立場もあり、準強姦を認めるわけにはいかなかった」と述べた。

 女子部員の証言は「客観的証拠や他の部員らの証言と内容が一致し、信用できる」とし、「欲望のおもむくままに教え子の信頼を裏切った」と批判した。

 被害者参加制度を利用した女子部員は代理人弁護士を通じて「負った傷は私にしか分からない。被告を一生許すつもりはありません」と意見を陳述。代理人弁護士は「尊厳を否定された」として懲役20年を求めた。

 被告は被告人質問で「ホテルでは部員も起きていた。乱暴はしていない」と反論していた。27日に弁護側が最終弁論を行い結審する予定。

 起訴状によると、熊本県内の大学柔道部の合宿に同行していた内柴被告は昨年9月20日未明、東京都八王子市のホテルで、酒に酔って熟睡し抵抗できない部員を乱暴したとしている。