<女子テニス:ASBクラシック>◇5日◇ニュージーランド・オークランド

 元世界4位のクルム伊達公子(38=エステティックTBC)が、96年11月のチェース選手権以来約12年ぶりに海外ツアーに出場したが、勝利はならなかった。現在世界64位のジル・クレーバス(34)と1回戦で対戦し、4-6、3-6の76分でストレート負けを喫した。来週は全豪の予選に挑戦する。予選は3回勝ち上がれば19日からの本戦入りとなる。

 クルム伊達が、ついに世界の舞台に戻ってきた。しかし、さすがに12年のブランクは大きくストレートで敗退。昨年から男子大学生を相手に練習してきたが「試合と練習は違う」と、実戦感覚を取り戻すことなく敗れ去った。

 相手のクレーバスは、大きな武器はないが、安定したストロークでミスが少ない。クルム伊達が引退した96年に全米大学チャンピオンになりプロになった。クルム伊達は持ち味の直線的な球で攻めるが、クレーバスの守備を崩せない。スタートから4ゲームを連続で失い、そのまま力尽きた。

 昨年の4月に、突然、現役に復帰した。当初は「若手の刺激になりたい」と話したが、ツアー下部大会に3勝、全日本も16年ぶりに制して欲が出た。「どこまでできるか挑戦したい」。昨年の11月に、今年の海外ツアー挑戦を決意した。

 日本選手相手なら、偉大な女王として精神的に優位に立てる。負けても当然という気楽さもある。しかし、外国選手はクルム伊達に対する気後れはない。「勝ち負けより楽しみたい」。来週の全豪予選突破に向け、早くも厳しい洗礼を浴びた。