内紛で揺れる日本クレー射撃協会の新執行部が、「麻生降ろし」を加速させた。10日、東京・渋谷区の岸記念体育会館で理事会を開催。3月末の理事会と総会による役員改選が正当だったとし、麻生太郎前会長(68)の名が入った賞状の使用禁止を通達する文書送付を決めた。平井一三新会長(65)ら新役員は、名刺の発注を始めるなど、旧体制からの脱却をはかった。

 麻生一掃へ、前年度の体制に反対する理事たちが動きだした。4時間20分の会議で、麻生氏は退任が決まったとの判断のもと、新提案が出された。新体制が発足したとして、「麻生会長」の名前が入ったこれまでの賞状の使用禁止を各都道府県協会に通達することを決定。旧賞状は、協会が無償で新たなものに交換するという。

 また、平井新会長ら新執行部の名刺の発注手続きも始まった。協会のウェブサイトも、近日中に会長名が差し代わり、新会長のあいさつ文が掲載される。前執行部が主導で開催する予定だったアジア選手権(8月、熊本)も、中止が可能かどうか検討をする。首相の麻生氏が会長から降りて、不都合はないのか?

 福城一信新専務理事(73)は「何もないですよ」と言った。

 この日の理事会は20人中、前体制派とされる4人が欠席。理由なき欠席は即資格停止処分、との強硬意見も出たが、しばらくは様子をみることになった。一方で、前執行部は16日に会議を予定する。4月1日以降、協会に詰めている福城専務は「(前執行部は)10日もたっているのに、事務局に来ない。職場放棄だと思う」と話している。

 もともと、麻生氏と懇意にする前役員の金銭問題への不信がきっかけの内紛劇。前執行部は、役員改選は無効で継続審議中との文書を、各都道府県協会に通達した。新執行部は弁護士名で、改選が法的に問題なかったとの見解を出した。理事会に出席した中田忠監事は「(この状況に)危機感を抱いている。両者が引かなければ、法廷にいく。仲良くやってもらいたい。同じ鉄砲打ちなので、いがみあうこともない」と和解を期待した。