テニスで日本男子のエース、錦織圭(19=ソニー)が痛めていた右ひじは重傷だった。マネジメント会社のIMGは25日、都内で錦織とともに緊急に会見し、20日にニューヨークで検査を受けた結果、疲労骨折と診断されたと発表した。約3カ月はラケットを握れない状態で、全仏に引き続き、6月22日開幕のウィンブルドンも欠場。6週間後に再検査を受けるが、復帰のめどは立っていない。錦織は24日に帰国しており、約3週間は日本に滞在する。

 錦織は目の前が真っ暗になったという。全仏で復帰のはずが、ウィンブルドンまで欠場。昨年4回戦に進んだ8月下旬の全米も出場が怪しくなった。「すごく悔しい。トレーニングやリハビリを続けてきたので残念な気持ちでいっぱい」。必死に平静を装った。

 3月には炎症と診断されていた。約1カ月の安静で復帰可能と言われ、それを信じて、リハビリとトレーニングを続けた。しかし、この2カ月半で、新たに疲労骨折をしていたという。「すごく落ち込みました。何もやる気になりませんでした」。

 IMGサイドは、疲労骨折は新たなケガだと強調するが、同じ右ひじであり、無関係ではないだろう。錦織も「違った痛みとも思うが、何かしら関連があるのかも」と話す。4月下旬にコートでの練習を始めて、最近、右ひじに水がたまったため、ニューヨークに飛び、疲労骨折が判明した。

 早熟ゆえの故障だ。昨年の2月に日本男子史上2人目のツアー優勝を遂げ、一気に世界レベルに駆け上がった。その結果、技術や才能に体がついていかない。肩の筋肉がまだ弱く、ひじに負荷がかかる。錦織のトレーナーによると「5年後を目標に体づくりをしている」。天才はあまりにも早く開花してしまった。

 関係者によると、来週に日本でも診断を受けるという。将来のこともあるので、今回は慎重を期す。「実家に戻ってゆっくりしたい。これだけ悔しい思いをすれば、テニスができる時が楽しみ」。その時こそ、一回り成長した錦織が再び世界に羽ばたく時だ。【吉松忠弘】