<全国高校総体>◇30日◇陸上◇奈良市鴻ノ池陸上競技場

 陸上男子200メートルで飯塚翔太(藤枝明誠=3年)が、21秒01で県高校記録を0秒01上回り、総体初優勝を飾った。7月30日の100メートル決勝では、1位と0秒02の僅差で2位。得意の200メートルで待望の優勝を手にし、県勢の金メダル第1号に輝いた。また、女子ソフトボールは、15年ぶり5回目出場の浜松市立が準決勝で須磨浦女子(兵庫)に0-1で惜敗。エース長谷川朋子(3年)の力投で同校として50年ぶり、県勢として18年ぶりの3位となった。

 ラスト50メートルで勝利を確信した。飯塚は苦手のスタートで出遅れたが、コーナーでグングン加速。得意の直線に入った時には体一つ抜け出した。レースを見守った清尊徳監督(40)も「『よしやった』と思った。後半はスピードがある選手」と話すように、最後の50メートルでさらに加速した。2位と0秒06差で悲願の全国総体初V。東海総体2冠のスプリンターは「文句なしです。記録より優勝を狙っていました」と声を弾ませた。

 突然のアクシデントにも動じなかった。予選は21秒11でトップ通過。だが、準決勝直前に雷雨のため中断。それでも、アップを絶やさず、自分が勝つレースをイメージしながら出番を待った。約1時間20分遅れでスタートした準決勝でも、トップ通過。勢いそのまま臨んだ決勝で快走した。

 どうしても欲しいタイトルだった。中学1年のジュニアオリンピック100メートル、3年の同200メートルで優勝。高校1年の国体少年Bの200メートルを制し、将来を期待された。だが、総体での優勝経験はなく、昨年は県総体直後に左太ももの肉離れ。全国の個人種目は欠場した。「今年しかなかった。プレッシャーはあったけれど、余裕を持って走れました」。レース直後に、仲間からねぎらいの言葉をかけられ抱擁されると、思わず涙がこぼれ落ちた。

 苦労を乗り越えてつかんだ栄冠。この日の優勝で、日・韓・中ジュニア交流競技会(韓国・木浦市、23日開幕)の代表選手候補に大きく前進した。「将来はボルトのような選手になりたいです」と話す飯塚が、初めて日の丸を背負う夢をふくらませた。【神谷亮磨】