<国際千葉駅伝>◇23日◇千葉県総合スポーツセンター陸上競技場発着◇6区間42・195キロ

 日本学生選抜の無名の19歳、吉本ひかり(佛教大2年)が、最終6区で北京五輪女子マラソン銀メダリストのキャサリン・ヌデレバ(ケニア)を抜き去った。ケニアから5秒遅れの3位でたすきを受け取ると、小柄ながら力強い走りでヌデレバを置き去りにし、区間賞の快走。日本学生選抜は2時間7分47秒の2位でフィニッシュした。

 最終6区の2キロ手前地点。日本学生選抜の吉本は、中継点からずっと見えていたヌデレバの背中をとらえた。得意な下り坂で一気に突き放し、五輪マラソン2大会連続銀メダリストの相手に47秒の差をつけた。23分12秒の記録は、世界選手権1万メートル7位の中村友梨香よりも27秒速かった。

 学生選抜で走るのは今回が初めてで「区間賞は予想外」。インカレで5000メートル4位だが、トラックよりアップダウンのあるロードが得意。10月の全日本大学女子駅伝ではアンカーで初優勝に貢献した。今より6キロ太っていた昨年を「口で勝ちたいと言いながら甘えていた」と反省し、自己管理を徹底。今年になって記録を伸ばした。

 15歳から親元を離れている。高校時代は熊本市内の陸上部顧問の自宅に下宿し、現在は京都の寮住まい。レース後、遠く九州でテレビ観戦した母陽子さんから届いたメールに「ありがとう」と返信し、感謝した。

 幼稚園の先生を目指して、教育学部に在籍中。授業の合間にお菓子作りで気分転換をするという普通の女の子だが「大学を卒業しても競技は続けたい」と言い切る。群雄割拠の日本女子長距離界に、突如、新星が現れた。【鎌田良美】