【オークランド(ニュージーランド)13日=益子浩一】ラグビー日本代表のロック北川俊澄(30=トヨタ自動車)が、旅立った後輩へ勇敢な姿を見せる。W杯1次リーグ・ニュージーランド戦(16日)に向け、この日は非公開調整。北川俊は京都の名門・伏見工出身で、同校は10日の練習中に3年生部員が熱中症で倒れ、帰らぬ人となった。心優しい大型FWは「高校の後輩ですよね。驚きましたし残念。僕は(W杯で)頑張るしかない」とか細い声で話した。

 伏見工の“泣き虫先生”山口良治総監督からは「恥ずかしい試合をするな。前みたいに失点するなよ」と伝えられたという。日本は95年W杯でオールブラックスに17-145の記録的敗戦。伏見工も山口監督就任直後の75年に京都・花園高に0-112で大敗し、そこから全国制覇した歴史がある。

 現地入りしていた山口総監督は、教え子の訃報のため緊急帰国した。泣き虫先生は「伏見の歴史で親御さんを悲しませたことは1度もなかった。悲しい。(伏見工卒の)北川と田中の2人が、伏見と日本のために頑張ってくれる。いい結果を待っている」と涙ぐんでいた。