<フィギュアスケート:グランプリシリーズ第4戦・NHK杯>◇12日◇札幌・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ

 女子ショートプログラム(SP)3位の浅田真央(21=中京大)は、125・77点でフリー1位と追い上げたが、総合184・19点で惜しくも2位に終わった。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は回避したが、3季ぶりにGPファイナル進出に可能性を残し、昨季の不振から復調の光が見えた。SP首位の鈴木明子(26)が総合185・98点で逃げ切り、2季ぶりのGP通算2勝目。GPファイナル(12月、カナダ)の出場を決めた。男子SPは高橋大輔(25)が自己ベストで歴代3位の90・43点で首位に立った。小塚崇彦(22)は2位。

 復調の兆しが見えた。自ら14年ソチ五輪への1歩と位置付けた今季、初戦で五輪に向けた光が差し込んだ。優勝に、わずか1・79点届かなかった。しかし、「ベストではないが、今の自分の力を出し切れました」と、演技が終わって、笑顔で何度もうなずいた。

 昨晩のことだった。SPで失敗した3回転半について、佐藤信夫コーチがいさめた。「2回転半にしていたら、もっと得点が伸びた」。この日、男子の高橋大輔が4回転を跳ばずに、高得点で1位につけたことも影響した。浅田は、自ら納得して不安定な3回転半を回避した。

 これまで、何と言われようとも、3回転半を跳ぶことだけは譲らなかった。それだけに「挑戦できなかったことは悔しい」。それでも08~09年シーズン以来、初めて苦手だったサルコージャンプを構成に入れ、5種類のジャンプをこなした成長は大きい。

 昨季は、NHK杯が過去最悪の8位発進だった。07年スケートカナダ以来のシーズン初戦Vはならなかったが、09年フランス杯以来のGP表彰台は確保した。「先につながる演技だった」と、五輪金メダルに向けてようやく1歩を踏み出した。3回転半の挑戦と、10年世界選手権以来の優勝は、次戦のロシア杯に取っておく。【吉松忠弘】