<バスケットボール:全国高校選抜優勝大会北海道大会・札幌山の手89-69札幌創成>◇13日◇女子決勝◇函館市民体育館

 昨年の全国覇者・札幌山の手が札幌創成を下し、22年連続29度目の優勝を成し遂げた。日本代表の長岡萌映子主将(3年)が、高校での道内ラストゲームで32得点と大爆発。エースを中心に多彩な攻撃を展開したチームは、初優勝を狙った札幌創成の反撃を許さず、女王の貫禄を見せつけた。全国大会(12月23日開幕、東京)では高校総体4強の悔しさをバネに連覇に挑む。

 最後は、やはり女王の貫禄、札幌山の手だった。北海道勢初の全国連覇へ向け、通過点にすぎなかった。「勝ったことは勝ったけど、内容も悪い。自分の動きも悪かったし、良い試合にならなくて残念」。ゴールを量産したエース長岡は、反省点を口にした。それでも、連続優勝の歴史が途絶えることはなかった。

 第1クオーター(Q)を終了し、16-21とリードを許す展開。第2Qは堅守からリズムをつくる札幌創成の攻撃をわずか6点に封じ、試合の流れを呼び込んで逆転した。第3Qからは確実に得点を重ね、終わってみれば20点差の勝利。上島正光コーチ(68)は「戦えていない。全国でも1回戦のチーム」と苦言したが、敵陣の動きに素早く対応する適応力は健在だった。

 チームの伝統はリバウンド、ディフェンス、ルーズボールの徹底。昨年の高校3冠チームは、その3本柱を全うし、日本一を手に入れた。新堀京花(2年)が「課題が多く出た大会だった」と話せば、永田裟季(3年)も「去年みたいにリバウンドやルーズボールをしっかりしないと」と重要性をあらためて確認。選手間で課題が見えているのも、強さの象徴といえる。

 常に進化を意識してきた。シューターの佐藤れな(3年)は、これまでゴールの大半が3ポイントからの得点だったが、決勝ではゴール下も含めて20得点。ドリブルからゴール下に切れ込むドライブ練習に取り組み、長岡以外の得点源を増やそうと努力してきた。「相手も3ポイントばかりだと思ってしまうし(長岡)萌映子ばかりに意識がいってしまわないように」と佐藤は言う。

 8月の高校総体は、全国4強止まり。雪辱しての今大会連覇へ、右足首を故障している長岡も万全の状態でプレーできる。「連覇の意識はない。上島さんがいつも言うように、良い内容の試合をするだけです」。伝統を再確認し、さらなる進化を図る札幌山の手が、もうひと回り大きくなって全国の舞台に立つ。【石井克】