フィギュアスケート女子の村上佳菜子(17=中京大中京高)が「後半勝負」でファイナル出場を目指す。26日に開幕するGPシリーズ第2戦スケートカナダ(ウィンザー)へ向けて23日、カナダへ出発した。今季初戦を控えて村上は日刊スポーツのインタビューに答え、ショートプログラム(SP)で、今季からルールが変わって得点が1・1倍になる後半に連続3回転ジャンプを持ってくることを明かした。第1戦スケートアメリカのSPで世界最高得点を出した同い年の羽生結弦(東北高)に負けじと挑む。

 屈託のない笑顔を見せていた17歳の少女の表情が一瞬、真剣になった。今季のプログラムについて問われると、語気が強まった。懸ける思いを明かした。

 村上

 SPは、後半にトーループ-トーループの連続3回転ジャンプと、3回転ジャンプを持ってくるように入れ替えました。後半まで体力を持続させて跳ぶこと。それが、今季のSPの目標です。

 疲れが出る後半にジャンプを跳べば、基礎点が1・1倍になる-。昨季までフリーだけに適用されていたルールが、今季からSPにも導入された。実際、第1戦のスケートアメリカで羽生が後半に挑み、基礎点を上積み。世界最高得点をマークした。「後半勝負」。14年ソチ五輪で主流になるであろうパターンに、村上も挑む決意を固めた。

 村上

 連続3回転ジャンプは、最初は演技の頭に入れていたんです。でも、ルールが変更になって、先生と話して変えました。後半に入れた方が、点数が高いので…。挑戦です。

 今季のSPで演じる「Prayer

 for

 Taylor」は、01年9月11日の米中枢同時テロの際につくられた“祈り”の曲。フリーでは高橋大輔や鈴木明子らを手がけてきた振付師のカメレンゴ氏に初めて習い、妖艶(ようえん)なタンゴを選んだ。「大人の女性」に勝負する。

 村上

 テーマはきれいで力強い女性です。特にフリーのタンゴでは、最初は力強く、途中で女性の色気、最後は激しい曲なので戦う強さを出したい。パスカーレ(カメレンゴ)先生は初めてで、この振り付けの後はこう来るだろうと思っていたら、違う。予想外の動きが多くて、すごく新鮮でした。すごい良いプログラムだと言ってもらえるんじゃないかと思っています。

 昨季のGPシリーズではスケート靴が足に合わず、練習が始まるたびに涙を流し、泣きながらジャンプを跳んでいた。力を出せないままに終わってしまった。だが、今季は違う。

 村上

 物のせいにしてはいけないけど、昨季は今までで一番練習したのに、うまくいかなかった。昔から泣くことは多かったけど、大きくなってから毎日、毎日泣いたのは初めてです。でも、壁は乗り越えられてきたかなと思っています。こういう経験ができて良かった。もし、またつらいことがあっても、ずっと踏ん張っていれば、乗り越えられると分かったから。

 シニアに挑戦して3季目を迎える。少女は、少し成長した「身」と「心」で、大人のスケーターに挑む。【今村健人】