女子レスリングで3大会連続五輪に出場した浜口京子(34=ジャパンビバレッジ)が現役を続行することが6日、分かった。都内の豊海小学校でこの日、一日教師として「ヒーローになるため」の特別授業を実施。「ロンドン五輪が終わって、やり残してきたものがある。このままでは終われない。終わったら後悔する気がする。闘争心は消えていません」と、選手生活を続ける考えを明かした。

 「最後の試合」と決めて臨んだ8月のロンドン五輪が不完全燃焼に終わった。初戦の2回戦で最終ピリオドに、延長戦で有利な攻撃権を得ながら返し技を食らった。余力を残したまま、やり尽くせなかった。直後に「シューズをまだ脱ぎたくない」と心が揺らいだ。

 帰国後、浜口道場で道場生と一緒に汗を流す中で、次第に「次」への思いが湧いた。父のアニマル浜口氏も「フォール負けでがつんとやられちゃったらダメだけど、もったいない負け方。悔しさは消えないから、次に向かうしかない」と背中を押した。「リ~オ、リ~オ!」と4年後の五輪挑戦を叫ぶ父には苦笑いするが、娘は「実現したら考えられない奇跡。でも、そうなったら良いなと思いますけどね」とうなずいた。

 今後は充電に入り、年末の全日本選手権は欠場する。復帰戦は定めない。だが「闘争心はまだ残っている。そのために充電させてもらう形です」。「私のヒーローは父」と語った浜口は児童に、試合前に必ず唱える言葉「私はできる、やればできる、必ずできる」を教えた。来年1月で35歳。道は平らでないが、浜口は「できる」と信じて前に進む。

 ◆浜口のこの1年

 11年世界選手権で1度はロンドン五輪出場枠を逃したが、昨年末の全日本選手権で史上最多15度目の優勝を飾り、今年3月のアジア選手権で出場枠を獲得。3度目の五輪出場を決めた。五輪前最後の試合となった5月のW杯(東京)では、大会終了後にマットにキス。「おそらく日本で試合をするのは今日が最後」と涙した。だが、ロンドンでは初戦敗退。試合後に父アニマル浜口氏と母初枝さんが、浜口の今後をめぐって大げんかする一幕もあった。