<男子テニス:楽天ジャパンオープン>◇第2日◇1日◇東京・有明テニスの森公園

 昨年優勝で世界13位の錦織圭(23=日清食品)が大逆転で、2連覇への第1歩をしるした。同26位でツアー5勝を誇るユルゲン・メルツァー(32)に6-7、2-5と崖っぷちに追い込まれながら、6-7、7-5、6-2で2時間7分の熱戦を制した。2回戦では同24位のロペス(32)と対戦する。伊藤竜馬(25)杉田祐一(25)は敗れた。

 崖っぷちから、不死鳥のようによみがえった。地元の前年度覇者にかかる想像を絶する重圧を、錦織は最後に振り払った。「正直、終わったと思った。逆転できて本当にうれしい」。サービスエース3連発で締めくくると、観客は総立ち。高らかに右手を突き上げた。

 相手のマッチポイントこそなかったが、第2セット2-5から、5度も敗退まで残り2ポイントと追い込まれた。「1ゲームずつ返していくしかないと思った」。苦しみながらも、5ゲームを連取。最終セットは1オールから、相手のサービスゲームを破ると、そのまま突き放した。

 相手より自分と闘っていた。前年度覇者、トップ10入り、地元のプレッシャー。そして昨年稼いだ500点のランキングポイントがすべてなくなる恐怖。加えて1度負けたことがある26位との初戦。「簡単じゃなかった。でも、最後は自分に打ち勝った」。

 9月13日からの男子国別対抗戦デ杯コロンビア戦で、2試合で1セットも落とさず。エースのプレーを見せた。しかし、個人戦では、全米オープン前から3連敗中。「気持ちが乗ってこない」とスランプ状態だった。しかし、この日の勝利で、個人戦の連敗からも脱し、復活を遂げた。

 この勝利で日本のテニスの聖地、有明コロシアムでは、昨年の大会から8連勝中。昨年も初戦で添田相手に逆転勝ちで波に乗り、優勝を成し遂げた。「去年も1回戦はギリギリ。これを機に、今年もジャンプアップしたい」。世界の「エア・ケイ」が、まずは最初の試練を乗り越えた。【吉松忠弘】