<フィギュアスケート:グランプリシリーズ第4戦・NHK杯>◇9日◇東京・代々木第1体育館

 エース高橋大輔(27=関大大学院)が、今季世界最高点で2年ぶり5度目の優勝を果たした。フリーで2度の4回転ジャンプに挑戦。連続成功は逃すも、172・76点を記録。1位だったSPの95・55点との合計は268・31点。今季の国際スケート連盟(ISU)公認大会では町田樹(23)がスケートアメリカで出した265・38点を上回った。完全復活したエースはソチの目標として2大会連続メダルを初めて口にした。

 エースが帰還した。冒頭の4回転トーループを完璧に成功。「すぐに次の4回転を考えた」と、トーループの4回転+2回転に向かった。力みすぎて3回転止まりとなったが、フリーで2本の4回転に果敢にチャレンジ。「2本目は失敗したくないと、力が入りすぎた。でも久々に2本に挑戦したので、いいきっかけになった。できれば、今すぐにでも(連続成功を)見せたい」。演技直前の6分間練習では3度ともに失敗していたが、攻めを貫いた。

 フリー曲「ビートルズ・メドレー」で観衆を魅了した。衣装は上半身が肌色で、下半身は黒色。「世界的に有名なグループ。見る人がそれぞれに感じてほしい」とあえてシンプルな衣装を選んだ。SPと合計で268・31点。今季世界最高点で優勝を飾り、GPファイナル(12月、福岡)に大きく前進。「100%ではないが、この大会を五輪へのいいスタートという形にできたらいい」と笑った。

 今年9月、モロゾフ・コーチから「私が知っていたころはもっと跳んでいた」と言われた。一時コンビを解消する直前の08年2月、4大陸選手権のフリーで2度の4回転に成功している。昨季5シーズンぶりにコンビを再結成した同コーチから、かつての姿を取り戻すため、重めのスケート靴への変更を提案された。長光コーチは「軽量化がスケート界の主流だが、彼は重い靴の方がジャンプの幅、高さが出る」。五輪シーズンでもトライする姿勢が結実しつつある。

 日本のエースの誇りを取り戻した。今季は「まず五輪に出ることが目標」としてきたが、この日は「ソチは遠い道のりだと思うが、五輪のメダルを目指して、ただ頑張りたい」と初めて公言した。日本フィギュア界で前人未到の2大会連続五輪メダルを狙う。【益田一弘】