フィギュアスケートで3度の世界女王に輝く浅田真央(23=中京大)が来季休養を宣言した。19日に都内でアイスショー「ザ・アイス」開催発表会見に出席し、今後について「体も気持ちも少しお休みする」と、休養の意向を表明した。7月1日に始まる新シーズンから、試合への出場を控える。3月の世界選手権優勝後から、進退を検討してきたが答えは出ず、1年間かけて進む道を決めることになった。

 時折笑顔をみせ、時折キリリと口元を引き締めながら、浅田が包み隠さずにいまの心を明かしていった。

 浅田

 今までいろいろ考えてはきたんですけど、やはり今年は自分の体も気持ちも少しお休みをするという形で決めました。

 マイクを握りしめながら、前を向いて答えた。3月末に世界選手権を終えて、全国をショーで巡りながら考えついた結論。それはもう少し時間をかけることだった。

 昨年5月、ソチ五輪を控える13-14年シーズンを「集大成」と位置付けた。2度目の五輪で最高の結果を出すために、スケートに集中した。ソチではショートプログラム(SP)で16位と崩れながら、フリーは自己ベストを更新する演技で世界中の感動を呼んだ。シーズンを終えた今、「全てをやり切った」という充実感、「(また)頑張ってやることはできないな」という予感、「自分が引退という決断には至ってはいない」という現状が混じり合う。

 当面は大学生活が中心になる。心理学に興味があり、授業の出席が第一。スケートが最優先でない生活に「すごく新鮮な気持ち」だという。日常のなかで、「ショーを楽しみにしてほしい。休むと感覚を取り戻すのは大変。いまのレベルは落としたくない」と、量を抑えながら、氷上での練習も続ける。海外を旅行する可能性もある。「その1年間で何をやりたいのか見つけていきたい」。

 会見では「18年平昌五輪で滑っているイメージがあるか」と聞かれ「ないですね」と笑顔で返答した。1年休養後の再来季シーズンでの復帰については、「まだハーフハーフなんじゃないかなと思います」と、得意のフレーズで返し、楽しそうに笑った。

 この日のワンピースは、新緑の季節に合わせたような鮮やかな緑だった。スケート人生で初めての長い休み。それは新たな芽吹きの可能性も秘める。「いろいろと自分のやるべきことはあると思うので、それを毎日精いっぱいやりたいなと思っています」。そう話す表情は柔らかく、5月の空のように晴れやかだった。【阿部健吾】