フィギュアスケート女子の村上佳菜子(19=中京大)が「男役」で新境地をみせる。トップ選手を集めた愛知県内での強化合宿に参加。今季のフリーで「オペラ座の怪人」のファントム役を演じることを明かし、「女性が男性を演じるけど、演じやすい。かわいい女性より、強い方が得意」と気概を見せた。過去には1つのプログラムで男女それぞれを表現したが、男性のみは初で、フィギュア界でも珍しい試みになる。

 男役といえば宝塚歌劇団が有名だが、「ああいうりりしい感じではなくて、ファントムは色気や、ちょっとひねくれたところもある」。11月には20歳を迎える。「今までは大人の女性を無理に演じていたけど、20歳なので自然と出るかな」。今季から使用可能になったボーカル入りの楽曲で滑ることも「気持ちが入りやすい」と後押しになる。

 日本の女子フィギュア界は変革期を迎えている。鈴木明子は引退、浅田真央は休養中。2人がいない今季は、先導役も期待される。2月のソチ五輪では12位に終わったが、「今までは『やらされている』。今は自分からやろうと前向き」と、心境に大きな変化がある。10代最後の夏を飛躍のステップにするため、力強い「男役」を作り上げていく。【阿部健吾】