日本ラグビー協会は14日、11月1、8日のマオリ・オールブラックス戦と、9日からの欧州遠征に参加する日本代表メンバー30人を発表した。初選出は、トンガ出身のNO8アマナキ・レレイ・マフィ(24=NTTコミュニケーションズ)ら3人。マフィはトンガ代表入りの打診を受けながら、思い入れのある日本代表入りを決断。来年9~10月のW杯イングランド大会出場を目指す。

 打診があと1週間遅かったら、日本代表メンバーに入っていなかったかもしれない。マフィは「順番が逆だったらトンガだったかも」と笑う。9月の代表候補合宿に招集すると連絡を受けた1週間後、トンガから代表入りのオファーを受けた。トンガ代表は高校時代からの夢だったが、ある理由から断った。

 U-18、19、20と年代別のトンガ代表に選ばれたマフィは、花園大(関西大学リーグ2部)4年時の昨季、トンガ代表に入れてほしいと直訴した。だが、トンガのヘッドコーチ(HC)には「大学でのプレーを見ていないから」とけんもほろろに断られた。「もうラグビーをやりたくないと思うくらい、寂しかった」。そんな時、トップリーグのNTTコミュニケーションズから声がかかった。「夢は日本代表で活躍することに変わりました」と、少年のような笑みを浮かべた。

 189センチ、112キロの体を生かした力強い突破が持ち味。日本代表のジョーンズHCは、トップリーグ開幕2戦目(8月29日)の東芝戦を見て驚いたという。「キックオフのボールがマフィに入り、彼は相手3人にぶつかりながらパスを出した。それを見たとき、スコッド(代表候補)に入ったんだ」。

 マフィの日本語は、たどたどしさが残るが、日常会話は不自由しない。アンコは苦手だが、納豆は食べられるようになったという。「(トンガを離れて)寂しい時もあるけどやりたいことだから。今はめっちゃ楽しいです」と笑った。NTTコミュニケーションズからの日本代表第1号は、桜のジャージーに袖を通す日を心待ちにしている。【岡崎悠利】

 ◆アマナキ・レレイ・マフィ

 1990年1月11日生まれ。5歳のときラグビーを始める。中学までWTB、高校ではフランカー。10年の花園大入学時に初来日。家族は両親と15人のきょうだい(姉5人、兄9人、弟1人)。小学生の頃はきょうだいの中で一番小さく、地元チームでうまくプレーできずに泣いたことも。好きなプレーはタックル。国籍はトンガのままだが、日本で3年以上継続して居住し、かつU20トンガ代表選出から3年以上経過しているため日本代表の資格を得た。