全国高校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ=日刊スポーツ新聞社など主催)が今日23日、東京体育館で開幕する。女子青森県代表、柴田女の野村茉以(3年)は2年前、10時間の心臓手術を受けて病気を克服。選手活動に復帰した。双子の姉茉央(3年)とともに東京から青森にバスケット留学。高校最後の冬に、人生初の全国大会に臨む。

 野村茉以の心臓の異常が判明したのは、柴田女に入学後の健康診断だった。「心房中隔欠損症」。心臓の右心房と左心房を隔てる心房中隔に穴が開いた病気だ。12年10月、東京の病院で手術を受けた。執刀は南淵明宏医師。年に200回の手術を行う心臓血管外科の名医だ。

 10時間に及んだ手術は成功。茉以の驚異的な回復力で10日で退院、リハビリを経て3カ月後にはバスケットの練習に復帰した。「有名なお医者さんだったので、手術を受けることに不安はなかった」という。姉茉央は「早く練習に帰って来てほしかった」と当時の気持ちを振り返った。

 東京都中野区の実践学園中出身。小中学校では果たせなかった全国大会出場を目指して、強豪柴田女の門をたたいた。柴田女は今回の全国選抜大会に2年ぶり11度目の出場。一昨年は初のベスト8進出を遂げている。茉以はこれまで全国大会での出番がなかったが、今回のウインターカップに茉央とともにメンバー入りが決まった。

 東京から雪国津軽の弘前市に来て3年目。寮で県外や県内の他地区出身部員と共同生活を送った。親元を離れ、初めて洗濯も自分でやった。寮生活も雪も言葉も最初は慣れなかったが、今はすっかり慣れた。「最初は不安もあったけど、2人一緒だから大丈夫だった」と姉妹は口をそろえた。

 心臓病も県外留学の不安も、茉央やチームメートの支えで乗り越えた。高校最後に実現した全国出場。東京体育館で開かれる「ウインターカップ」は中学時代から見に行っていたあこがれの舞台だ。「自分たちにとっては地元開催。雰囲気にのまれることはない。声を出して思い切り頑張る」と目を輝かせた。【北村宏平】

 ◆野村茉以(のむら・まい)1996年(平8)9月26日、東京都生まれ。9歳からバスケットボールを始めた。実践学園中時代は東京都中学選手権でベスト8。柴田女でのポジションは姉茉央ともフォワード。家族は両親、兄と茉央。169センチ。血液型O。