<バレーボール:ロンドン五輪世界最終予選兼アジア予選女子大会>◇初日◇19日◇東京体育館

 世界ランク3位の日本が、ダブルエースの活躍で、五輪に向け快勝スタートだ。同17位のペルーに対し、木村沙織(25=東レ)、江畑幸子(22=日立)の攻撃の要が、ともに11点と最多得点を挙げ、チームを引っ張った。第1セットの出足こそ緊張からリードを奪われたが、25-13、25-21、25-18でストレート勝ち。身体能力の高さを武器とする相手に快勝し、目標とする全勝での予選首位突破に弾みをつけた。

 日本が誇るダブルエースが、初戦から爆発だ。江畑が第1セットから飛ばせば、木村が第3セットでエンジン全開で締めくくり、2人で22点を奪う活躍に、真鍋監督も「まずは勝って良かった。ホッとしています」と、初戦の緊張感から解き放たれた。

 第1セット立ち上がり、サーブレシーブが乱れ、1-3とリードを奪われた。木村がサーブで狙われ、安定した返球がセッターに返らない。救ったのが、江畑。「スパイク力は1番になりたい」と、乱れたトスでも決め、スパイクで木村を上回る10点をたたき出した。

 木村も負けていない。江畑が疲れた第2セット中盤から、スパイク、ブロックに奮闘。ブロックでは、アタッカーながら、センターの岩坂、荒木と並ぶチーム最多の3点。真鍋監督も「両エースが助け合いの精神を見せてくれた」と絶賛だ。

 お互いにコート上では声を掛け合い「お互いにがんばろうと声を出した」(江畑)。昨年11月のW杯では、敵の弱点や選手の好不調を試合中に教え合い、ダブルエースの基礎を作った。最終予選の緊張感は独特のもの。その不安を成長した両エースが取り払った。

 昨季は木村が不調に陥った。真鍋ジャパンが目指したトスからスパイクまで0・8秒という速い攻撃にリズムを狂わせた。その間に、彗星(すいせい)のように現れたのが江畑だった。所属の日立はVリーグ下部のチャレンジリーグのチーム。代表でただ1人、同リーグからの抜てきだった。

 木村の部屋には、出場した04年アテネ五輪、08年北京五輪のマスコットがある。「どうしてもロンドンのマスコットがほしい」。江畑にとっては、初のマスコットになるロンドン五輪出場に向け、ダブルエースが好発進だ。【吉松忠弘】