<大相撲名古屋場所>◇4日目◇16日◇愛知県体育館
関脇安馬(24=伊勢ケ浜)が「ダライ・ラマ効果」で無傷の4連勝だ。1横綱2大関を破って元気な小結豊ノ島(25)と全勝対決。立ち合いで右上手を取ると一気に寄り切り圧勝した。取組前には支度部屋で、信奉するチベット仏教のお経を聞いて精神統一。大勝ちして来場所で、初の大関とりとしたいところだ。
安馬は立ち合いにすべてを懸けた。「立ち合いで低くいけた。左の差し手をうまく殺せた」。鋭い踏み込みで右上手を引き、頭をつけながら前へ出た。我慢できなくなった豊ノ島が左腕を抜くと、もろ差しで一気に土俵の外に追いやった。これで対戦成績12勝2敗。得意な相手である上、「先場所負けた相手で燃えていた」と、夏場所千秋楽に2ケタ勝利を阻止された悔しさを、ぶつけた。
取組前の支度部屋では、大粒の汗を流しながらイヤホンを離さない。信奉するチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマのお経が、耳から響いている。「去年の九州場所から聞いている。ケガが一番怖いので『ケガしないように』と祈っている」。昨年秋場所初日、白鵬を首投げで破った際に右ひざを負傷した。「弱みを見せたくない」とサポーターやテーピングはしなかったが、11月には半月板の手術を勧められたほどだ。起床時と場所入り前も祭壇に手を合わせ、無事を祈る。
場所前には絶好の刺激もあった。11日から3日間開催された母国モンゴルの国家祭典「ナーダム」で、いとこのガンバートルさん(26)がモンゴル相撲大会準優勝。1月には一緒にトレーニングした仲で、大会中は電話で結果をチェックしていた。「とにかくうれしかった。今場所3賞もらって、賞金でプレゼントしなきゃ」と腕まくりする。
初日からの4連勝は06年秋場所以来で、3役では初めてだ。昨年春場所から務める3役も、これで連続9場所在位。場所前には伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から「勝ち越すだけで満足せず、上を目指さなきゃダメだ」と活を入れられた。今場所大勝ちすれば、来場所は初の大関とりとなる。「今までは3役ですごいと思っていた。でも、まだ上があるしね」。夜食のラーメンとチャーハンを欠かさず、体重も名古屋入り後3キロ増(126キロ)。心身ともに成長中の安馬が、主役に名乗りを上げた。【近間康隆】

