今度は隠ぺいか。大相撲の暴力団観戦問題に関与したとして、部屋閉鎖と2階級降格処分を受けた木瀬親方(40=元幕内肥後ノ海)が、日本相撲協会理事会で暴力団との交際を認める発言をしていたことが13日、分かった。処分を審議した5月27日の理事会で「3年ほど前まで付き合いがあった」と発言したことをこの日、本人が認めた。協会はこの事実を公表しておらず、複数の現役力士が野球賭博を行っていたことを即座に公表した対応とは、まさに対象的。不祥事が相次ぐ協会の迷走が浮き彫りとなった。

 暴力団との交際を認める重大な証言が、隠されていた。木瀬親方が、5月27日の理事会で暴力団との交際を認める発言をしていたことが発覚。同親方自身がこの日、受け入れ先の北の湖部屋で「理事会で(暴力団と)3年ほど前まで付き合いがありましたと説明した」と話した。理事会出席者によると、一部理事や外部役員から暴力団との交際について追及された木瀬親方は、事実を認めていたという。だがその後、協会はその事実を公表しなかった。

 外部監事で、元警視総監の吉野準氏は「協会から説明があったと思っていた。そうでないと(最も軽いけん責処分の)清見潟親方と処分に大きな差がある説明がつかないから」と驚いたように話す。理事会では出席者全員に「詳しいことは広報部が発表するので、個人としての意見を述べないでもらいたい」などの通達が行われたという。しかし「広報部からの発表」はなかった。吉野外部監事は「説明があってしかるべき」と協会の対応に疑問を投げかけた。

 11日に複数の現役力士が野球賭博に関与していたことを即座に公表した一件とは、まさに対象的だ。不祥事が続き、協会への批判が強まる中「透明性」をアピールする形の公表だった。その直後に親方、力士ら全協会員への賭博に関するアンケート実施も発表。しかし、今回のように「都合の悪いものにはふたをする」あしき体質が、改善されていないことも意味する。

 木瀬親方は「今は一切付き合いはない。理事会で処分を受けて反省している」と“終わったこと”にしているが、波紋が広がるのは必至だ。14日にも野球賭博の件で警視庁、管轄官庁の文部科学省が動く見込み。迷走が浮き彫りになった協会への逆風が強まるのは避けられない。