<水泳世界選手権:競泳>◇29日◇上海

 ロンドン五輪切符を狙った日本の2トップは、ともに銀メダルに終わった。男子200メートル背泳ぎ決勝では入江陵介(21=イトマンSS)が、強敵ライアン・ロクテ(米国)の壁を破れず、1分54秒11で前回ローマ大会に続く銀メダルとなった。

 笑顔なき銀メダルだった。入江が得意の200メートルでロクテに完敗した。序盤からリードを許すと、1度も追い抜けないまま1秒15遅れでフィニッシュ。前回09年ローマ大会と同じ2位に「悔しい銀に変わりない。正直、52秒台の争いになるとは思わなかった」と唇をかんだ。100メートルの銅に続く今大会2つ目のメダルも狙っていた色とは違った。

 隣のコースを泳ぐ強敵に先行された。最初の50メートルでロクテに0秒20差。そこから追い込むはずが、100メートルはクレアリーにも抜かれ3位でターン。ラスト50メートルで何とか2位に戻ったが、トップとの差は広がるばかりだった。「150のターンで浮き上がったら、隣にロクテはいなかった」。優勝タイムと設定していた53秒台にも届かなかった。

 泳ぎの技術で世界一を目指してきたが、強化プランを見直すことになった。道浦健寿コーチは「負け方がはっきりしてるんで。スタートとターン。これから、バサロを練習メニューに入れようと話し合いました」。泳ぎにこだわる頑固な男も、うなずいたという。

 ホテルを出るときに「スタッフに見送られて泣きそうになった」という。感謝の気持ちを抱え日本勢の金メダル第1号を狙ったが、そのロンドン切符はお預けになった。レース後はロクテに祝福の握手をし「まだ厳しいが1年ある。強くなりたい。気持ちを切り替えてやりたい」。上海から新たな1歩を踏み出した。