劣勢の展開を戦ううえで、「流れを変えよう」という思いは持っていなければいけない。だが点差や残りイニングといった状況判断も大切だ。

日本ハムは4点を追う7回、先頭打者の石井が、2ボールからの3球目を打って投ゴロに倒れた。オリックスは先発の田嶋から近藤に替わったばかり。ストライクが入らずに苦しんでいる投手を、助けてしまった。マウンドに上がったばかりの投手が何より落ち着くのは、最初の1アウト。「打ってやろう」という気持ちはわかるが、とらえた打球でも、野手の正面にいってしまうこともある。試合終盤の4点差は、1点ずつ返していけるようなビハインドではなく、走者をためることが大事な場面。状況が頭に入っていれば、もう1球待つことができたのではないだろうか。

負け投手となった斎藤は、低めのフォーク、チェンジアップをうまく使って2、3回を抑えた。だが4回はオリックス打線がその変化球を拾い始めた。「遅いボールにやられないようにしよう」と、相手が意識を変えてきた中で、しかし配球は同じパターンのままだった。変化球を振らせるためにも、もっとストレートを投げていくべきだったと思う。(日刊スポーツ評論家、侍ジャパン投手コーチ)