MVPは坂本勇が取るだろうが、丸も3年連続MVP級の貢献だった。長年、レギュラーを張ってきた阿部は常時出場することが減り、昨季は坂本勇1人で背負う部分があった。だが丸が入り、負荷が分散されたのは全然違う。2番という本来はつなぎの打順で坂本勇らしい打撃を貫けたのも3番に丸が控えるから。昨季3割30本100打点だった4番岡本へのマークが厳しくなり、数字的には減少したが、苦しみながら一定の成績を挙げたのも丸がカバーした部分が多いからだ。

巨人にFA移籍する選手は、活躍しにくいと言われてきた。だが全盛期を少し過ぎて入ってくるケースも多く、丸はむしろ、もうひと伸びしてピークを迎えるぐらいの選手。打撃でも意味のある打席を随所に見せ、周囲に好影響を与えていた。犠飛が欲しい場面では狙って打ちに行くなど、意味のあるアウトへの意識が高かった。

優勝を争う上で重要だったDeNAとの3連戦(10~12日)でも、打撃の状態は決して良くなかった。だが体を開かないことを意識した「ツイスト打法」で修正を図り、2本塁打を含む5安打7打点を残した。特に3戦目に、顔を三塁側に向けたまま、引っ張って放った右翼への1発など、試合中に打つフォームでは見たことがなかった。

開幕前に巨人の優勝には「投手力が少し弱い分、1試合平均4・5得点、年間にして650得点オーバー(昨季625得点)が目安になる」と評論した。実際に投手陣は菅野が故障を重ね、田口、大竹寛の先発組を中継ぎに回し、中川の成長などでしのいだ。138試合時点で1試合平均4・7点、644得点と基準値の数字を残し、投手陣をフォローできたのも、丸の存在があったからだ。(日刊スポーツ評論家)

巨人丸
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