オリックス対ロッテ オリックス先発の山崎福(撮影・前田充)
オリックス対ロッテ オリックス先発の山崎福(撮影・前田充)

パ・リーグは近年、ソフトバンク一色だ。今季は田中将大が復帰した楽天が匹敵するが、他4球団がどう「打倒」に挑むか。昨季最下位のオリックスは戦力的には厳しいが、まだ才能が開花していない分、伸びしろは大きいチーム。山本由伸は球界屈指の右腕だが、自己最高はシーズン8勝。打線の兼ね合いもあるが、能力からすれば貯金10はできる投手だ。

ロッテ戦に先発した山崎福也も脱皮できていないタイプだろう。昨季の5勝5敗がキャリアハイで毎年のように防御率4・50前後。この日も打者17人中9人を3球以内で追い込んだが、決め球の精度が悪く、勝負を決められずに球数がかさんだ。

4回で82球を投じたが、狙ったところに、置きにいかずにしっかり投げられたのは5球程度に見えた。1割に満たないが、勝てる投手で6、7割、本当にいい投手は8割程度は、自分の思い通りの球を投げられる。5割以下では厳しい。

3回の荻野を3球三振に仕留めたチェンジアップ、菅野から見逃し三振を奪った外角いっぱいの直球は思い描いた球だっただろう。だが、82球中5球なら6%にすぎない。この6%に満足するのではなく「残りの94%」がなぜ決まらないのか、突き詰めるべきだ。

能見篤史はいい手本となる。一定の割合で意思通りの球が投げられ、打者を圧倒できる強い腕の振りがある。全盛期は球にもっとキレがあったが、今でも通用できるのは、この部分が残っているからだ。対照的に山崎福は直球はまずまずだが、カーブを投げる時の明らかな腕の緩みは、レベルは低い。

強かったころの中日も川上、吉見、チェンの3本柱の裏で、佐藤充、朝倉、川井(雄大)が2ケタ前後を勝った。3本柱だけでは優勝はできず、彼らの存在がチームにとっては非常に大きかった。オリックスでは山本、山岡、田嶋が2ケタ勝利できる力量がある。続く4番手以降の投手がどれだけ勝てるかがAクラス入り、さらに優勝争いへ重要な要素となる。いずれの投手も能力ほどは勝ち星が積み上がっていないだけに、壁を破った時に、一気に上位へ浮上する可能性がある。(日刊スポーツ評論家)

オリックス対ロッテ 5回表、オリックス2番手で登板する能見(撮影・前田充)
オリックス対ロッテ 5回表、オリックス2番手で登板する能見(撮影・前田充)