ロハスはコンディション面ではまだ本調子ではないだろう。それでも、打席での落ち着きは評価できる。4回は1死二、三塁で打席が回り、カウント1-2と追い込まれたが、慌てるそぶりはなく、二ゴロで打点1を稼いだ。バットに当てたら1点という打撃をしてくれた。最後の打席も、ちょっとしたポイントのズレで右飛となったが、タイミングが合えば、本塁打になる雰囲気があった。中日又吉に対し、佐藤輝はキレのある球に空振り三振を喫したことを考えれば、ロハスは決して悪くない。

左右の打席を見ても、ここを投げれば大丈夫、という穴は少なそうだ。好不調の波は激しいタイプではなく、大崩れしないタイプとみる。ただし、今年のように来日が遅れ、調整の難しいシーズンは経験がないはず。状態が上がってきた時の打席を見たい。昨年のようなキレが出れば、打てると思う。

4回の攻撃で言えば、マルテの四球から佐藤輝が二塁打でつなぎ、ロハスの二ゴロで1点をとった。打線の勢いで取った得点ではなく、自然と入ったような1点だった。点を取って当たり前の雰囲気がある。これが本当の強さだ。今季はそういう試合が多くなっている。

これは昨年に大山が本塁打王を争ったことで、打線にしっかりとした柱ができたことが大きな要因だ。大山を軸にマルテ、サンズが働き、佐藤輝も腰を据えて起用できた。大山は負傷で離脱したが、選手層は厚くなった。2年前なら、3点ビハインドの状況で敗戦濃厚だっただろう。この日は、チームの強さを感じる勝ちに等しいドローだった。(日刊スポーツ評論家)

2021年5月11日 阪神対中日 4回裏阪神1死二、三塁、メル・ロハス・ジュニアは二ゴロも三塁走者が生還し打点をあげる(撮影・清水貴仁)
2021年5月11日 阪神対中日 4回裏阪神1死二、三塁、メル・ロハス・ジュニアは二ゴロも三塁走者が生還し打点をあげる(撮影・清水貴仁)
阪神対中日 8回裏阪神2死、右飛に倒れたロハス・ジュニア(右)はマルテと話す(撮影・清水貴仁)
阪神対中日 8回裏阪神2死、右飛に倒れたロハス・ジュニア(右)はマルテと話す(撮影・清水貴仁)