広島も巨人もここから上位をうかがうためには、何としてでも勝ち越したい試合だった。
そして、奇遇にも両チームに言えることがる。チームのピンチは、選手のチャンス。
広島は西川が登録を抹消され、菊池涼もコンディション不良からスタメンを外れている。そして巨人も坂本が離脱している。主力を欠いてここから球宴、そして後半戦へと入っていく。
この折り返し間際で、どこまでバックアップの選手が勝利に貢献できるかで、後半戦の戦い方も変わってくる。つまり、選手がチャンスをつかんだチームは、総合力が高まるからだ。
そういう視点でこの試合を見ていた。そして広島は大盛、羽月が何とかして自分のストロングポイントでチームに貢献しようとする姿勢が見えた。大盛は二塁打、羽月もヒットと盗塁で結果は出つつある。
もちろん、ミスもある。羽月は8回、岡本和の併殺打に仕留めるべき打球で、二塁から一塁へ高投で、ピンチを広げた。さらに9回は門脇のセーフティーバントに、一塁カバーが多少遅れたように見えた。
こうしたところは、経験値、判断力ともに向上させたい。それでも、試合の中でギリギリのプレーをすることは、羽月のプラスになるはずだ。
一方の巨人は門脇。9回のバントには何とか出塁するんだという明確な狙いが見えた。さらに、再三ショートの球際で粘りあるプレーも見せた。羽月と同じように、チームのピンチで、自分の居場所を見つけようという必死さは見えた。
最後はミスにつけ込めなかった巨人と、しっかりものにした広島で差がついている。巨人は11回無死一、二塁で秋山のセーフティーバントで、三塁中山がチャージに迷い、結果大江が処理してオールセーフ。
最後は坂倉のタイムリーで決着はつく。非常に難しい判断だったと思うが、中山にとっては試練。負けた中でも門脇のプレーは光ったように、ここから中山がどこまで食い下がるか、それがチーム力の底上げにつながる。
戸郷、九里の投げ合いで、勝敗を分けるのはミスだというのは両チーム分かっていたはずだ。その中で、やはりちょっとしたほころびを見せた巨人が敗れ、付け込んだ広島が競り勝った。ミスに付け込み、チームの底上げに兆しを感じさせた広島が、大きな勝利を手にした。(日刊スポーツ評論家)




