プロ入り5年目を迎えるロッテの佐々木と、今季から先発転向するモイネロが、同一リーグで戦うオープン戦で先発した。佐々木は1年間、ローテーションを守れる投手になれるか? モイネロはやや手薄な先発投手陣の救世主になれるか? 言うまでもないが、どちらも優勝を狙うための大きなカギを握っている投手だろう。

最初に佐々木のピッチングから、私なりの評論をしてみたい。3回で4安打されたヒットのうち、柳田、牧原大、ウォーカーに打たれたのはいずれも真っすぐだった。柳田と牧原大はイニングの先頭打者で、柳田には内角を狙った初球の156キロがシュート回転して甘くなり、牧原大は1ボールから高めに浮いた真っすぐをライト前に痛打された。フルカウントからのウォーカーも高めで、当たりはボテボテの内野安打。しかし差し込んだ当たりではなく、バットの先っぽに当たった打球だった。本来の真っすぐではなかった。

おそらく長いイニングを投げようとする意識が強く、少し力をセーブして投げているのだろう。このように力を抜いて投げると、体の力が緩み、フォームが安定しなくなる。全力で投げてもシュート回転するタイプだけに、力を抜けばなおさらシュート回転して逆球になったり、球が高めに抜けてしまう。変化球のワンバンが多かったのも、力加減をセーブして投げていたせいだろう。

それでいて3回無失点は能力の証しだ。しかし、長いイニングを投げようとすれば、今試合のような不安定な内容になる。球数も57球。キャンプから順調にやってきた割には少ない。おそらく開幕直後は70~80球をメドにした先発を考えているのだと思う。まだ、脱力投法で、長いイニングを投げる技術はともなっていない。

現段階で佐々木が長いイニングを投げるなら、スライダーの精度を高めてもっと球数を多くすることだと思う。今試合でスライダーは4球で、牧原大の初球が見逃しボール。井上の初球が三塁への内野安打。今宮の3球目が空振り。近藤への3球目が見逃しボール。このスライダーは打たれる危険もあるが、勇気を出してストライクゾーンに投げ、打たせて打ち取る球として使いたい。今宮を空振りに打ち取ったスライダーは外角の低めのボールゾーンに逃げていく最高の球だったが、ストライクゾーンの球はバットに当てられる。その分、ヒットにされる可能性はあるが、打者の目先を変えたり、低めに決まればゴロで仕留められそうだ。

先発にチャレンジするモイネロを見れば、打たせて取る投球の重要性が分かる。4回で三振は1個だが、変化球で打たせて取るピッチングができていた。ゴロアウトが7個もあったのは、先発転向に向けて自信になったと思う。開幕当初は6回ぐらいまでだろうが、慣れてくれば長いイニングを投げられそうなイメージはある。あとは佐々木と同様にケガをしないで乗り切れるかだけだろう。

2人の先発が、どう成長してチームの勝利に貢献していくのか。楽しみにしている。(日刊スポーツ評論家)

ロッテ対ソフトバンク 力投するロッテ先発の佐々木(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク 力投するロッテ先発の佐々木(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク 力投するロッテ先発の佐々木(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク 力投するロッテ先発の佐々木(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク ソフトバンク先発のモイネロ(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク ソフトバンク先発のモイネロ(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク ソフトバンク先発のモイネロ(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク ソフトバンク先発のモイネロ(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク ソフトバンク先発のモイネロ(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク ソフトバンク先発のモイネロ(撮影・小沢裕)