現役時代は近鉄一筋17年で4度の盗塁王に輝き、オリックスで監督を務めた日刊スポーツ評論家の大石大二郎氏(65)が試合をチェック。今季初の先発全員安打の15得点で快勝したポイントを分析しました。

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阪神は2回に一挙7点のビッグイニングを作り、先発全員安打の大量15得点で連勝を5に伸ばした。ポイントは坂本、木浪の「見事なつなぎ」と大山の「4番の打撃」だった。

先発大竹が1-2と逆転を許した直後の2回、6番の先頭ノイジーが四球で出塁した。立ち上がり不安定だった大竹の状態を考えると、後続打者は打ってチャンスを広げるしかないという難しい局面だったが、坂本は左前に運び、木浪も右前にはじき返して無死満塁と好機を広げた。

ここで9番大竹が2-2から打った打球は投手大野のグラブをはじき、右前に転がった。最悪(併殺)のケースを考え、打たずに近本に託すという選択肢もある中で打って出た。結果は紙一重だったが、打たなければ何も起こらない。結果は同点打という最高の「つなぎ」となった。同時に自らの投球も立て直すきっかけともなり、今季のカギを握る左腕が勝利を手にするという大きな成果も手にした。

大山の1回の先制打も見逃せない。2死二塁。中日先発の大野に2球で追い込まれたが、しっかりした形で見逃した後、3球目の高めストレートをひと振りで仕留めた。4番としてチームに勇気と勢いを与える打撃内容だった。

大山にとってもチームにとっても19日の中日戦が転機となったことは間違いない。今季最多となる7点を奪って快勝したが、特に不振に苦しんでいた大山にとって、待望の1号本塁打は心身両面で大きかったはずだ。阪神打線が機能するかどうかは4番大山次第。大山が役割を果たすことができれば、昨季、猛威を振るった「つなぎ打線」の完全復活へ加速することだろう。(日刊スポーツ評論家)