中8日の先発となった佐々木朗希が、7回3失点の投球をしたが、今季初黒星を喫した。

エラーもあり自責点は2点。球数は105球で、今季3度目の100球以上をクリア。それでも勝てなかったのは、なぜなのか? 今後の課題が見えた試合だった。

ここまでの佐々木の登板を見ていて、左肩の開きが早いことが気になっていた。まだ修正しきれているとは思えなかったが、今季の登板の中では一番良かった。やはり中8日も空き、フォームをチェックする余裕もあったのだろう。しかし、登板間隔が空いたことで、これまでカード3戦目が多い日曜の先発から、カード初戦の火曜の先発に変わった。これが勝てなかった要因になった。

カード頭の先発は、相手チームもエース級の投手が先発する。ソフトバンクの先発は、開幕投手を務めた有原だった。お互いにそう簡単には得点できない。少しの気の緩みが、思わぬ失点を招くもの。勝つためには「絶対に先取点はやらない」という強い気持ちが必要になる。

先制点を与えたのは、佐々木だった。4回の先頭打者の今宮、次打者の柳田には、2ストライクに追い込みながら1球、ボールを挟んだ直後のフォークを逆方向にヒットされた。そして山川に対しても1-2からのフォークが落ちきらず、二塁走者を進塁させるレフトフライを打たれている。ここで投げた3球のフォークは、いずれも低めのボールゾーンに落ちきっていない。特に柳田へのフォークは、1球前のフォークが見逃され、ボールになっていた。フォークを続けて見逃されると、球数が増えてしまうという気持ちがあったのかもしれない。その分、落ちきらなかった。

1死一、三塁で、プロ入りしてから23打席で1安打もされていない近藤を迎えた。ヒットを打っていないとはいえ、いいバッターはやられたまま黙っていないもの。前の打席でも徹底して逆方向を意識したバッティングをしていたし、バットに当てれば得点の可能性が高くなるチャンス。真っすぐ2球で1-1となった後、フォークに合わせるようなスイングで、三塁線を破るタイムリーを放った。このフォークは低めにコントロールされていたが、カウント的にはもう少し低めでよかった。

手痛い追加点を与えた7回も悔やまれた。2死から牧原大に2-1から真っすぐを打たれ、盗塁を決められた後の川村には、3-1から真っすぐをレフトオーバーされた。いずれもバッティングカウントから、単純な真っ向勝負。クイックが苦手で、盗塁を決められたのも痛かった。得点圏に走者が進み、川村の打席では外野が後ろで守れなくなっていた。

好投手との投げ合いで、これだけ隙を見せると苦しくなる。エース級と投げ合う火曜だが、1日空いてリリーフ陣はそろっている。球数を気にせず、勝負どころでは全力で抑えにいってほしい。それだけのポテンシャルは持っている。そうでなければ、勝てない試合は今後も増えていくだろう。(日刊スポーツ評論家)

ロッテ対ソフトバンク ロッテ先発の佐々木(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク ロッテ先発の佐々木(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク 3回表ソフトバンク1死、ロッテ先発の佐々木は甲斐への初球に今季最速の160キロを計測した(撮影・小沢裕)
ロッテ対ソフトバンク 3回表ソフトバンク1死、ロッテ先発の佐々木は甲斐への初球に今季最速の160キロを計測した(撮影・小沢裕)