阪神の戦いは、ピッチャーが抑えて、クリーンアップが打つという、上位チームの典型的な勝ち方だった。9回はもつれたかにみえるが、エラーが出ていなければスンナリ逃げ切っていた。

まず先発の伊藤将は、相手打者が最初から打ちづらいと思っているのがありありだった。どのバッターも特に変化球を投じられたときの左腕の振りと、ボールの軌道に戸惑っているようだった。

対右打者にはチェンジアップ、膝元のカットボールが効果的だった。とにかくタイミングがとりづらそうで、左打者を並べたほうが攻略できるのでは思わせるほどでもあった。好調だった23年シーズンの姿を見ているようだった。

そして、佐藤輝が6回に放った右越えの決勝2ランは、打った瞬間にホームランとわかる完璧な当たりだった。「4番」のホームランで勝ちきるという、強いチームの姿だ。

何が変わったかといえば、昨シーズンは右足を上げていたが、今季はその動きが小さくなっている。それは結果がでているから言えることで、右足を上げないのが好調の要因とは言い切れない。

ただタイミングのとり方を工夫しているのは間違いないだろう。カウント2-2に追い込まれた後のチェンジアップを仕留めた。どの球種がきてもおかしくない状況で落ちる球をスタンドに運ぶのだから、タイミングが合っている証拠だった。

なによりライトスタンドに放り込めるのは、今のチームでは佐藤輝1人だから、そこに魅力がある。(日刊スポーツ評論家)