首位阪神は9回に追いつかれ、延長12回表に勝ち越された。優勝マジックは31のまま減らず、2連敗を喫した。それでも日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(44)は敗色ムードにあらがった12回裏の途中出場組を評価。「苦しんだメンバーのガツガツ感はチームの活力になる」と力を込めた。【聞き手=佐井陽介】
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2点ビハインドで迎えた12回裏、阪神は最後の最後まで粘りました。1死走者なしから代打木浪選手がしぶとく中前に落とし、2死一塁からは途中出場の高寺選手が二遊間を抜きました。一打同点、1発が出れば逆転サヨナラの2死一、二塁まで持っていった流れに、負けてなおチーム全体の底力を感じました。
12回表2死満塁から勝ち越し打を浴びた時点で、球場内には完全に敗色ムードが漂っていました。実際に多くの観客が勝ち越された直後、帰路に就き始めました。そんな空気を一掃したのが木浪選手でした。2ボール2ストライクと追い込まれながら、ヤクルト星投手の直球を押し返して中前打。この1本に意地を感じたのは、私だけではなかったはずです。
木浪選手は今季も開幕遊撃スタメンを勝ち取った立場でありながら、攻守で本来の実力を発揮できないまま、1カ月以上も2軍再調整を余儀なくされました。7月31日に1軍再昇格を果たしてからも出番に恵まれず、この日は6試合ぶりの出場でした。実戦勘も含め、なかなか結果を出しづらい状況でも腐らず努力を続けている日々が、再昇格後初安打につながったように映りました。
チームは首位を独走中。とはいえ、これだけ酷暑が続く中、出ずっぱりの主力勢に疲労が蓄積されていないわけがありません。そんな時期、期待したくなるのがハートウィグ投手やドリス投手ら新戦力、そして前半戦に苦しんだメンバーです。チームメートは皆、苦労して再びはい上がってきた選手たちの過程を間近で見ています。だからこそこの日、木浪選手の安打でベンチがあれだけ盛り上がったのでしょう。出番に飢えている選手たちのガツガツ感はシーズン終盤、必ずチームの活力となるはずです。(日刊スポーツ評論家)







