あれからもう1年がたったのかと思うと、時の流れをとても早く感じる。19年10月17日。阪神担当になって初めてのドラフト会議の当日、私は星稜高校にいた。阪神は1位で星稜・奥川恭伸投手(現ヤクルト)を指名。3球団競合の末獲得とはならなかったがその後、創志学園・西純矢投手を1位指名した。星稜の選手たちと同様にどきどきしながら抽選を見守ったが、「阪神、西純矢、投手、創志学園高校」と呼ばれた瞬間は同じくらい、強く心に残っている。

翌18日、阪神矢野監督が指名あいさつに訪れることになり、星稜のある石川県から創志学園のある岡山県へ移動した。「矢野ガッツ」が代名詞の指揮官と、熱のこもったガッツポーズで甲子園を沸かせたドラ1ルーキー。西純のキラキラとした瞳に、運命のようなものを勝手に感じていた。

今年のドラフトは10月26日。運命の日まであと1週間を切った。昨年は1位から5位まで高卒選手を指名した阪神は、今年誰をドラフト1位で獲得するのか。野手では近大・佐藤輝明内野手、投手では早大・早川隆久投手に数球団が競合するのではと耳にする。佐藤君が阪神に入ったら…大山とクリーンアップに並ぶ姿は聖地を盛り上げるだろう。早川君が阪神に入ったら…同じ左腕の高橋と先発ローテーションを守るのだろうと夢が広がる。

今年はコロナ禍で例年とは異なる仕様になっても、1人の選手にとって晴れやかな門出であることは間違いない。今年はどんな選手に出会えるのか、未来を想像しながら楽しみに待ちたい。【阪神担当=磯綾乃】

指名のあいさつに訪れた阪神矢野監督(左)と一緒にガッツポーズを見せる創志学園・西純矢(2019年10月18日撮影)
指名のあいさつに訪れた阪神矢野監督(左)と一緒にガッツポーズを見せる創志学園・西純矢(2019年10月18日撮影)