<パ・クライマックスシリーズ:ソフトバンク4-3ロッテ>◇第1戦◇14日◇ペイペイドーム

日本シリーズをかけたロッテとの短期決戦。ソフトバンク孫オーナーもかなり気合が入っていたのだろうか。試合開始1時間前にハイヤーでペイペイドームに乗り込んできた。球団幹部の出迎えを受け、足早に上層階のスーパーボックスに姿を消した。

悲願であったリーグVを3年ぶりに成し遂げた。西武に王者を譲り渡したこの2年、孫オーナーは悔しさをにじませてきた。オフのスポンサーパーティーに送ったビデオメッセージでは工藤監督、コーチ陣、主力選手の出席も意識してか「何としても来年はリーグ優勝してほしい」と言い続けた。「何でも一番がいい」と呪文のように唱える孫オーナーだけに、王者奪還は何よりうれしかったろう。

豪快野球の白星ではなかったが、強い者が勝つのではなく、勝った者が強いのだ。敵失に乗じて同点に追いつくと、8回2死満塁から甲斐の遊撃内野安打で決勝点。先勝で即座に王手をかけた。

2位で勝ち上がってきたロッテとはペナントで「接戦」を演じた。カード24戦で11勝12敗1分け。前半12試合を終えた時点では3勝8敗1分け。大きく負け越したが、10月からの対戦カード7連勝もあり、一気に借金「1」まで挽回した。苦手意識も払拭(ふっしょく)されたか。工藤監督となってロッテとのCS対決は15年のファイナル、16年のファーストステージの2度あるが、15年は4連勝(アドバンテージ1勝含む)、16年は2連勝。こちらの相性は抜群だった。

短期決戦では「鬼采配」も辞さない工藤監督だが、動くこともなかろう。鷹ナインは「必勝の形」を熟知している。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

8回裏ソフトバンク2死満塁、甲斐は遊撃への打球で一塁にヘッドスライディングし、勝ち越し適時打とする。一塁手井上(撮影・岩下翔太)
8回裏ソフトバンク2死満塁、甲斐は遊撃への打球で一塁にヘッドスライディングし、勝ち越し適時打とする。一塁手井上(撮影・岩下翔太)