ロッテ横山陸人投手(19)が、高卒同期の佐々木朗希投手(19)に負けじと強烈アピールを続けている。2日の中日戦(バンテリンドーム)でも1回無失点のリリーフ。井口監督も救援陣についての質問で「横山も含めて、みんな頑張ってくれている」と名前を挙げて働きをたたえる。

指揮官は、横山の昇格時には「いろいろな経験をさせる意味も含めて上げました」と言及している。期待以上とも言える、いきのいい投球だ。サイドスローから150キロ近い直球をどんどん投げ込んでいく。ここまで4試合で打者17人に投げ、3安打2四死球5奪三振。阪神佐藤輝には内角低め直球をあっさりと右中間二塁打にされた以外は、痛打の印象もない。

4試合で計63球を投げ、ボール球判定は22球。投げっぷりの良さが目立つ中で、ストライク率65パーセント超も誇れる数字だろう。甲子園、ZOZOマリン、バンテリンドームと3球場のマウンドで投げ、全てで乱れなかった。空振りを9度奪い、そのうち8球が直球によるもの。阪神大山、梅野、中日高橋周らが初スイングでアジャストできなかった球威が印象に残る。

ロッテ横山陸人(2021年5月28日撮影)
ロッテ横山陸人(2021年5月28日撮影)

アマチュア野球担当時代の19年5月に、初めて横山の投球を見た。千葉県内で行われた、専大松戸・横山陸人、横浜・及川雅貴(現阪神)、常総学院・菊田拡和(現巨人)のドラフト候補が一堂に会する変則ダブルヘッダーの練習試合。数多くのスカウトも駆けつけた。全てのスカウトをうならせたわけではなかったが、バネと躍動感のあるサイドからの140キロ超えは大きな将来性を感じさせた。「本格派サイドスロー」と形容したくなる投手だった。

19年ドラフト4位でロッテに入団。1年前の春、コロナ禍の前に一度だけ浦和球場でブルペンを見た。球速は140キロに満たなかった。今春1軍キャンプも途中離脱。「何年かかかるのかな…」と思っていたら、今年4月2日、佐々木朗の取材で訪れたイースタン・リーグのヤクルト戦(戸田)で救援登板し、いきなり150キロを出したので驚いた。体も見違えるようにたくましくなり、大きな衝撃を受けた。

後に聞くと、体重は入団時より9キロ増。「寮の食事のバランスがすごく良いので、それで増えたのかなと」。筋力もつけ、自主トレで課題にも向き合い、やるべきことをやって伸びてきたという。この投球を続ければ、いわゆる「勝ちパターン」で試されるタイミングもあるかもしれない。持ち球もまだ全てを使い切っていない。パの強打者たちにもどこまで通用するのか。楽しみは尽きない。【ロッテ担当 金子真仁】

ノックを終え片付けるロッテ佐々木朗(左)と横山(2020年1月21日撮影)
ノックを終え片付けるロッテ佐々木朗(左)と横山(2020年1月21日撮影)