満塁男の極意を猛虎打線に注入してほしい。この秋に就任した阪神藤井康雄1、2軍巡回打撃コーチ(59)は、現役時代に歴代3位14本の満塁本塁打を放っている。今季阪神の満塁弾は佐藤輝とサンズの2本でリーグ4位。トップはDeNA5本だった。
藤井康コーチは現役時代満塁で打席に立った時のことをこう話していた。「若い時は満塁で打席に立つだけで変なプレッシャーで追い込まれた。中軸を打つようになってからは、自信が出てきて、『よっしゃ! 満塁なら任せておけ』という気持ちが強くなった。打つとファンにも一番アピールできるし」と、楽しめるようになった。「相手投手も満塁で四球を出して押し出すのは嫌。ストライクゾーンで勝負に来る。直球も多くなる」と、ボール球が投げづらい投手心理も味方につける。
今季、阪神は後半打線が沈黙し失速した。得点圏打率リーグ2位3割2分1厘の梅野でも満塁では打率2割5分。大山は満塁では1割4分3厘。糸原は7打数無安打と苦しんだ数字が並ぶ。逆に佐藤輝は得点圏打率は2割4分5厘ながら、満塁では15打数6安打の打率4割、11打点と強さを発揮した。藤井康コーチの満塁での教えで改善すれば、来季、満塁からの大量得点シーンも多く見られるかもしれない。
「人気球団だから、その重圧は今から感じています」とパ・リーグ一筋だった藤井康コーチも、初のセ・リーグ、熱狂的な虎党から選手に重圧がかかる状況だとは理解している。初の指導となった秋季練習では体の使い方を4つに分類する4スタンス理論を指導する部分が目立ったが、「ミスターブルーウェーブ」の勝負強さや打席での考え方を春のキャンプでどう伝えていくのか。今から楽しみだ。【阪神担当=石橋隆雄】




