菊池(西武)が8月24日のソフトバンク戦で今季6敗目を喫した。これでソフトバンク戦は今季0勝4敗、デビューからは通算0勝12敗。同一カードでデビューから白星なしの12連敗は、50~52年関根潤三(近鉄)が毎日戦、56~59年橋本敬包(広島)が巨人戦で喫した11連敗を抜くプロ野球ワースト記録となった。

 関根は毎日戦に11連敗した52年9月10日時点で他カードは16勝28敗。橋本も巨人戦11連敗時の他カードは10勝13敗と負け越していたが、菊池はソフトバンク戦以外では55勝30敗。今季に限れば、ソフトバンク戦が0勝4敗、防御率7・97に対し、他カードは12勝2敗、防御率1・41。関根や橋本と違って、ソフトバンク戦以外ではエースの働きを見せており、ソフトバンク戦だけ勝てないのが不思議で仕方がない。

 「デビューから」の条件を外しても、同一カードでこれだけ連敗する投手は珍しい。記録が複数年にまたがるため、自分の調子が悪い時ばかりでなく、好調時にも投げるし、相手のメンバーも替わるので、そうそう連敗は続かない。同一カードで12連敗以上は、65~68年巽一(サンケイ)が巨人戦で記録して以来、49年ぶりだった。巽は65年8月15日に巨人戦5勝目を挙げたが、その後は巨人に1度も勝てず、同年9月16日から12連敗で引退した。

 同一カードの最多連敗記録は55~59年大石正彦(大洋)が巨人戦で喫した17連敗。2位は57~60年中山俊丈(中日)の16連敗で、これも相手は巨人。12連敗以上は菊池で7人目だが、過去6人のうち5人が巨人戦で記録している。巨人戦以外では、60~63年の南海戦で13連敗した梶本隆夫(阪急)しかいない。菊池の連敗記録を調べていたら、巨人に12連敗以上した投手が5人もいたのかと、昔の巨人の強さを改めて感じさせられた。

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「記録室から」)