木曜のオフ企画「こんなん知ってますか!?」の今年ラストは読者にも関係あるかも? な話題をお届けします。年が明けたら盛んになる神社参拝。阪神の面々も開幕前に出掛けるのだが「トレーナーは行かない」という不思議な現象についての話です。

今年も残りわずか。年が明けると神社仏閣へお参りする方々も多い。仕事、勉学の成功はもちろん、家族、自身の健康、さらには他の願い事などを祈願する。すたれることのない習慣だ。

阪神タイガースも「必勝祈願」に出掛ける。2月のキャンプが終わって開幕までの期間を利用して出掛ける。他球団でもこういったお参りはよく行われるが、阪神が面白いのは2つの神社にお参りすることだ。

広田神社(西宮市大社町)と西宮神社(西宮市社家町)の2カ所に監督以下、選手、関係者が出向く。広田神社は兵庫県で最も古い神社とされ、西宮神社は全国に2500あるえびす神社の総本社で「西宮えびす」と呼ばれることも多い。

この2つの神社にチーム関係者がお参りするのだが「西宮神社にはトレーナーは行かない」という通例がある。

あるトレーナーは「西宮えびすの方は行ってはいけないと言われますね。トレーナーたちは誰も参加しません」と証言。球団側もこれを認める。全員で結束を固める意味もある神社参拝で一体、どういうことか。

2つの神社参拝はいずれも「必勝祈願」としているが、実は西宮神社に関しては「商売繁盛」の意味合いが強い。商売の神様として知られるえびす神社ということでそうなっている。ここにトレーナーが行かない理由がある。

「我々が商売繁盛する、つまり忙しくなるということは、イコール故障者が多いということになる。だからなんです」。あるトレーナーは説明する。確かに故障者はチームの勝敗に大きく影響するし、避けたいもの。神にすがるという逆の意味でトレーナーは参拝しないということのようだ。意外にも思うが、医療関係者の間では結構「常識」として知られることという。

しかし、これは本当に正しいのか。日本唯一の「足の神様」としても知られる服部天神(大阪府豊中市)の加藤芳哉宮司に聞いてみる。

「参拝は個人の気持ち次第です。どなたがえびす様にお参りしても問題ないと思いますよ。元々、商売繁盛の御利益だけではありませんので。阪神さんがどう考えられるのかはそれも自由ですけれど」

西宮神社に4年間奉職した経験もある加藤宮司はこう話した。神社参拝は行く側の気持ち次第。こういうところにこだわる阪神、いかにも老舗球団らしい。【編集委員・高原寿夫】

3月28日、広田神社を訪れ参拝する、左から島田、藤浪、高山、梅野、中谷、小野ら
3月28日、広田神社を訪れ参拝する、左から島田、藤浪、高山、梅野、中谷、小野ら