阪神の監督、岡田彰布は現在66歳。シーズンが終わる11月には67歳を迎える。ファンの皆さんがご存じの通り、球界最年長の監督である。2年連続の優勝、そして日本一へ、その存在は「孤高」といった感じがする。
若返った他球団との監督との接点は薄い。巨人の阿部とはまったく関わりがない。DeNAの三浦とは、三浦の父親が昔、岡田の後援会に入っていたという関係で、知り合っての年月は長いが、個人的な付き合いはほとんどない。
ヤクルトの高津とは誕生日が同じ(11月25日)というくらいで、中日の立浪とは同じスポーツメーカーのアドバイザーで、シーズンオフに顔を合わせ、そこで少し会話する程度。これでわかるように、年齢的な差もあり、岡田の孤高さが際立つのだが、ひとりだけ、かなり濃密な間柄の監督がいる。広島の監督、新井である。
これもファンならよく知っているはず。2008年、新井はFAで広島から阪神に移籍した。時の監督は岡田で、新井を一塁で起用し、当然のようにクリーンアップを任せた。狙い通りに事が運び、チームは首位を走るが、その夏、オリンピックで新井が代表になり離れた。そして、そこで腰の骨折が判明。これも原因のひとつになり、結果、巨人に大逆転を許し、岡田は責任を取り、退陣となった。
新井は岡田に対し、申し訳なさを持ち続けていた。翌年の2009年2月。沖縄キャンプで新井は岡田を食事に誘う。キャンプ取材にきていた岡田と初めて直に向き合った。「えらい謝まっとったわ。ずっと気になってたってな。オレはそこまで思ってないのに。まあ新井の人柄、人間性なんやろけど」。これが岡田の新井評であった。
以来、会えば岡田が新井をいじり、新井がらしく対応するといった関係が続く。監督同士で戦うようになり2年目。新井が阪神戦を前に「高校野球のようにぶつかる」と言えば、それを聞いた岡田が「高校野球って、金属バットはアカンで」とちゃちゃをいれる。今回の対戦前には、広島が巨人に3連勝したことに触れ「巨人に勝つ方法を教えてもらわないと」と岡田が挑発すれば、「日本一になる方法を教えてもらいます」と新井が返す。2人の間には、いつも微笑ましさがある。
目下、阪神が首位で広島が2位。岡田が貫禄を示しているのだが、その中で新井広島の変貌ぶりを認めている。「新井が監督になって変わったよな。チームが前へ、前へって感じやもんな」。岡田はめったに他の監督のことを語らないし、褒めもしない。それだけにこの新井評は実に珍しいもので、広島の力を感じているということなんだろう。
交流戦前の3連戦。1戦目は広島が打ち勝ち、2戦目は阪神がしのぎ切った。まだその時期ではないが、首位攻防にふさわしいゲームが続いた。「今年は巨人がライバル」と語っていた岡田だが、広島の存在ががぜん大きくなったのは間違いない。岡田VS新井…。ほっこりとした激突は、今年のセ・リーグの目玉になるに違いない。【内匠宏幸】(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)




