毎度ささやかれる「投高打低」のプロ球界。その原因について、ボールが飛ばない…という声を聞く。ベンチではどう見ているのか。阪神監督の岡田彰布に尋ねてみた。

すると監督は首を傾げながら「そんな極端なことはないし、飛ばない、までは感じないけどな」と語っている。

海の向こうでは大谷翔平が今季の29号を放ち、メジャー通算200号を記録した。その時の阪神のチーム本塁打数は32本。比較する対象ではないけど、大谷ひとりに追いかけられている。

この32本塁打(7月14日現在)はリーグ最少。最多はDeNAとヤクルトの54本。本拠地の差もあって、思ったほどの開きはないけど、やはり少ない。

調べてみると阪神のチーム最多本塁打数は1985年。130試合制で打ちまくった219本だ。当時の甲子園はラッキーゾーンがあり、真弓、バース、掛布、岡田が30本以上を打った特別なシーズンだった。

ホームランは野球の華…と例えられるが、それにしても今シーズンの32本は少なすぎる。すでにシーズンの半分以上を消化し、個人では近本と大山の6本が最多。寂しい数字が並ぶ。この分ではシーズン最少本塁打の記録も考えてしまう。2リーグ分立後、1955年の51本塁打が最少で、その翌年の1956年も54本。直近では2012年、和田豊が監督時の58本。50本台は長い球団史で3度。まさか今年が4度目?

この2012年、個人の数字も悪くてチーム最多本塁打はブラゼルの12本だった。本塁打とチームの勝敗は必ずしも結びつかないが、このシーズンは借金20での5位だった。

この本塁打激減現象は阪神だけではない。例えば広島だが、現在4番を打つ小園の本塁打数を確認して改めてビックリした。4番のホームランが1本。巨人の岡本、ヤクルトの村上、DeNAの牧、中日の細川は2桁に乗せている中、広島と阪神の4番は1桁。それでもチームは首位争いを続けている。

「ホームランが多い=チームが勝つ」にはつながらない。出なければ、出ないなりの戦い方がある。それはディフェンス力を高め、打線が「線」を作り、つながりを重視した攻撃を仕掛ける。阪神、広島はそういう形で乗り切ることになる。

ただ、ないものねだりというか、やはり本塁打は欲しい。「ひと振りで流れを変えることができるし、勝敗を決めることもできる。ホームランにはそんな魅力があるからな」。岡田がイメージするように、本塁打はチームに勢いをもたらす。

7月14日の中日戦。佐藤輝の放った打球が右翼フェンスの最上部。わずかな差でホームランにはならなかった。チームから本塁打が消えて久しい。ここらで景気付けの1発を、と期待していたところで、15日から巨人戦である。東京ドームは狭い。久しぶりのホームラン…には格好の舞台だし、相手は首位。この3連戦、ひそかに期待しているのだが、いかに。【内匠宏幸】(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)

中日対阪神 10回表阪神2死三塁、右適時二塁打を放つ佐藤輝(2024年7月14日撮影)
中日対阪神 10回表阪神2死三塁、右適時二塁打を放つ佐藤輝(2024年7月14日撮影)