<明治神宮大会:関東第一6-2熊本国府>◇高校の部1回戦◇15日◇神宮


これまで母校関東第一の試合は甲子園、東京ドームで見たことがあるが、いずれも負けていた。曇天で寒さが厳しい神宮球場に出向き、今日こそはと試合を見守ったが、これまでとは異なる感情が湧いてきた。

プロ野球のコーチ時代に母校の試合を見ることは、ただシンプルに応援する気持ちだけだった。勝ってほしい、ただそれだけだった。それが、評論家になって試合を見ると、無邪気に応援する気持ちとははまた別の思いが出てくる。

関東第一は、初回と6回にいずれも先頭打者が二塁打で出塁しているが、それぞれショートゴロ失策と、左飛に終わっている。走者を進めるバッティングの意識が足りないように感じる。

特に初回のショートゴロ失策では二塁走者が飛び出しており、失策がなければ三塁でアウトになっている。打球判断が甘い。熊本国府のショートは走者と打球が重なり、慌ててしまってのエラーに見えた。こういうところは、特に立ち上がりはきっちり精度高いプレーが必須だ。

8回無死一塁では犠打で走者を進め、ダメ押しの2点への足掛かりを作っている。それでも初回、6回のような無死二塁ならば、進塁打や犠打で1死三塁の形を作れる。そうなれば、それこそ内野ゴロでも1点が入る。センバツまでの間で試合運びをもっと鍛えるべきだろう。

どうしても捕手に目が行ってしまうが、熊谷俊乃介捕手(2年)は、冷え込む8時半開始の寒さの中でも半袖だった。見ているこちらが寒くなりそうだが、それだけ気持ちが入っているのだろう。

捕手ならばブロッキングで腕に投球を受ける可能性もあるが、そんなことよりも普段通りの力を発揮するために、迷わず半袖を選んだのだろうと、スタンドから見ていた。

1回裏の守備では1死一塁から走られ、熊谷の送球がセンターへそれてしまい、盗塁と失策を記録した。セカンドのベースカバーが遅れた部分はあった。それほど肩が弱い印象はない。ここから冬合宿などを経て、3月まで目いっぱいに練習してほしい。

キャッチングでは、姿勢が少し腰高に見えた。このため、低めを捕球する際、いったん腰が浮いてから捕球姿勢に入るために、上体がかぶさるようになる。ミットも下がり、あれでは球審から見づらくなる。

こうした部分は、しっかり意識して練習すればどんどん向上する。半袖で試合に臨んだガッツで修正してほしい。

試合は先制、中押し、ダメ押しの理想的な試合運びで熊本国府に快勝した。明治神宮大会で関東第一は記念すべき初勝利を挙げた。試合が終わると、スコアブックをつけていたペンを止めて、やっとほっとした気持ちになった。

全国大会で母校が勝利して整列する姿を見るのは、本当に誇らしい。自分が巣立った高校だけに、勝ってほしい気持ちはもちろんあるが、評論をするとなると、攻守にわたっていろんな部分が目についています。

今回はどちらかと言えば、評価することよりも、修正すべきポイントばかりになってしまっったが、それもセンバツまでに鍛え、さらに強くなってほしいという先輩の助言と受け止めてくれればありがたい。(日刊スポーツ評論家)

関東第一対熊本国府 力投する関東第一先発の大後(撮影・横山健太)
関東第一対熊本国府 力投する関東第一先発の大後(撮影・横山健太)
関東第一対熊本国府 8回表関東第一2死二塁、左翼線へ適時二塁打を放ちガッツポーズする小島(撮影・横山健太)
関東第一対熊本国府 8回表関東第一2死二塁、左翼線へ適時二塁打を放ちガッツポーズする小島(撮影・横山健太)
関東第一対熊本国府 5回裏から登板した関東第一・坂井(撮影・横山健太)
関東第一対熊本国府 5回裏から登板した関東第一・坂井(撮影・横山健太)
関東第一対熊本国府 6回表関東第一1死二、三塁、中犠飛を放つ熊谷(撮影・横山健太)
関東第一対熊本国府 6回表関東第一1死二、三塁、中犠飛を放つ熊谷(撮影・横山健太)
関東第一対熊本国府 試合を見つめる関東第一・米沢監督(撮影・横山健太)
関東第一対熊本国府 試合を見つめる関東第一・米沢監督(撮影・横山健太)