大柄な背筋がピンと伸びたように見えた。早大・小宮山悟監督(55)が13日、茨城の水戸一高を訪問。早大野球部初代監督である飛田穂洲氏や、大学時代の恩師・石井連蔵氏の母校に足を踏み入れ「身が引き締まる思い」。飛田氏の像に一礼した後、3時間にわたり水戸一ナインを指導した。「飛田先生の“一球入魂”は、我々も石井さんからうかがった。一球入魂は、水戸一であり、早稲田であり、日本全国の球児に共通した言葉」と説いた。

今夏に早大OBの高橋直樹氏(30)が水戸一のコーチに就任した縁で実現した。もともと浅からぬ両校野球部のつながりを、さらに深めるとともに、別の狙いもあった。水戸一を志望する中学生の発掘だ。県内の中学生が数人、見学に訪れていた。常陸太田から来た小川永惺君(中2)は、小宮山監督が制球を武器としていたことを知ると、制球を磨く方法を尋ねた。「球拾いから狙って投げるように。とにかく反復練習」と教わり、「大切にしたいです。水戸一に興味が出ました」と目を輝かせた。

背景には、部員減少の危機感がある。現在、マネジャーをのぞく選手は17人(2年生7人、1年生10人)で、10年ほど前と比べ半減。旧制中学時代を含め3度、甲子園出場の伝統校としては寂しい。県内屈指の進学校であり、ただでさえ部員集めには苦労する要素がある。そこに、野球人口の減少が追い打ちをかける。

来年4月から中学が併設され、段階的に高校の募集人数が減ることも危機感を増す。以前、甲子園常連校の監督にチームを強くする方法を尋ねたら「どれだけいい選手を集められるか」と言われた。身もふたもないし、それだけでもないと思う。ただ、部員の減少は、どの学校も死活問題になる。水戸一の木村優介監督(36)は「本校の魅力を上げること」と言った。明治からの伝統にあぐらをかかない姿勢に好感を覚えた。【古川真弥】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

水戸一ナインへの指導の前に、飛田氏の像に一礼する早大・小宮山監督(撮影・古川真弥)
水戸一ナインへの指導の前に、飛田氏の像に一礼する早大・小宮山監督(撮影・古川真弥)
水戸一のエース石井(右)に身ぶりを交え指導する早大・小宮山監督(撮影・古川真弥)
水戸一のエース石井(右)に身ぶりを交え指導する早大・小宮山監督(撮影・古川真弥)