ドラ1ルーキー・度会隆輝を空振り三振に切り、敵地・横浜スタジアムで引き分けに持ち込んだことは大きいと思う。これは今後のDeNA戦にも意味を持つと、独断で予測したい。

勝負事、特に長時間、試合を行う野球には“流れ”が存在する。ちょっとした何かをきっかけに流れがよくなったり、その反対だったり。流れをもたらす存在もいる。そういう選手を「ラッキーマン」と呼ぶこともある。

その意味で今季、DeNAのそれは新戦力の度会なのでは…と思っている。21歳、ドラ1位ルーキーだが、すでにチームの顔の1人だろう。何より、ヒーローインタビューでハイテンションに話す様子は虎党でも記憶にあるはずだ。

「そりゃあ、元気はいいですね。面白いヤツですよ」。度会はどんな感じ? 旧知のDeNAチーフ打撃コーチ・石井琢朗に聞いてみると、そんなことを言った。確かに突き抜けたような明るさは面白い。ハッキリ言って阪神にはいないキャラクターである。同時にこういう選手を“乗せてはいけない”と思う。

この試合、その度会がシブいことをやった。3回、村上頌樹が内角低めに投げたストレート。これに右足を引っ込めるどころか、出すような感じで死球を得たではないか。その割には痛がっていたが明るさだけでなく、根性もありそうだ。

もちろん阪神も分かっている。ここまで5球団で度会をもっとも抑えているのは阪神投手陣だ。ここまでの4試合で打たれた安打は1本だけ。17打数1安打の0割5分9厘。今月2日の1回戦で2回に二塁内野安打を許したが、その後は打たれていない。現在の度会は好調とは言えないようだが、それでも、いやだからこそ「度会に打たせるな」という意識は続けていかなければならない。

阪神はこの10試合で3度目のドローだ。最初は12日、首位だった中日を相手にバンテリンドームで引き分け。さらに16日、今季初めて巨人を甲子園に迎えた試合は延長10回表で“雷雨コールド”。そこから阪神は5連勝。その直前、14日の中日戦にも勝っているので引き分けを挟んで6連勝は継続中である。

DeNAは終盤、何度もサヨナラ勝利のチャンスがあった。それをことごとく抑え込んだブルペン陣。チームの強みを発揮してのドローという結果は阪神に優位に働くはずだ。(敬称略)

【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)