「打つならもっと早う打てよ」。うれしさを隠し、そう言いたくなるのも虎党だったりして。とにかく8回、佐藤輝明のちゃんと走り出した一発を含め、一気に5得点。計8点でロッテに快勝、連敗を「7」で止めた阪神である。
なにしろ連敗中は4点止まり。ジリジリする展開の日々だったが、これでなんとか抜け出した。さらにもう1つのカベも乗り越えたといえる。「魔の水曜」だ。水曜自体の成績は試合前まで2勝6敗1分け。2勝はしているものの「火曜に才木浩人で負けた後」の水曜は未勝利だった。
「野球にはいろいろと不思議なことが起こりますからね」。指揮官・藤川球児もそう振り返った。そこも乗り越えて勝った阪神、これで流れを変えられるかもしれない。
試合内容もよかったと思う。5回に出た近本光司、小幡竜平とつながった中継プレーもよかったし、坂本誠志郎も足でかき乱そうとするロッテの走者を刺しまくった。1番から5番までで8打点というのもいい。
そんな試合で球児自身が反省する場面があった。2回1死一、二塁で先発投手・伊藤将司に打席が回ったところだ。伊藤将は1球目をバントで空振りすると2球目はバントの構えから見送ってボール。カウント1-1になってからサインは強行策に変化する。その結果、フルカウントからの7球目を打って投ゴロ併殺打になったのだ。結果としては最悪である。
前監督・岡田彰布(現オーナー付顧問)はこういうとき、言い方はおかしいが、まず投手に期待しなかった。「いらんことしたらあかん」と、最後までバント、それで三振でもいいという姿勢を貫いたものだ。
「バントと思ったんですけど初球の空振りを見てね。(伊藤将は)打撃いいよって話もあって変化させたんですけど。あのへんは少し自分も勉強かなと思います」。3回の得点場面を聞いた虎番キャップの質問に対し、自ら切り出した。
反省するべき点は何なのか。あらためて聞いてみる。「バントでしたけどね。襟を正してまた頑張りたいなと思います」。つまり、最後までバントで押せばよかったということだ。
勝負は難しい。プレーはもちろん、指揮を執るのは、なお、そうだろう。一瞬の迷い。もしも負けていれば、相当、痛い結果だったと思う。しっかり反省して、再出発である。(敬称略)
【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




