宇都宮東(栃木)の中村隼(はやぶさ)外野手(2年)が、大会1号アーチとストッパーの二刀流で活躍した。栃木大会が開幕。那須拓陽戦に「5番右翼」で出場した中村は、3点リードの8回に右翼へダメ押しの1発を放った。投げてもエース露木諒人投手(3年)の後を受けて6回からマウンドに上がり、4回を1安打無失点に抑え6三振も奪った。露木が5回、中村が4回の継投は、勝利の方程式。3年生が4人しかいないが、女子マネジャー3人を含めた全21人の部員が力を合わせ目標のベスト8を目指す。

 中村の打球が高々と上がった。3点リードの8回表。内角寄りの直球をとらえ、右翼フェンスを越えるダメ押し弾とした。この日開幕した栃木大会の大会1号で、自身にとっても公式戦では初の本塁打だった。「甘いところに来たら、思い切り振っていこうと。打った瞬間にいったと思いました。公式戦で初本塁打なので、とてもうれしいです」。第1打席は二塁打、第3打席でも右前適時打と、3安打2打点の活躍だった。

 打つだけではない。6回からはエース露木の後を受けてマウンドに上がり、4回を1安打無失点に抑えた。「投げる方はバックを信じて思い切り投げました」。仲間の大切さは痛感している。中学時代は1年で左肘を手術し、同2年では左上腕部を骨折するなど故障続きだった。「中学時代は野球をした記憶がありません。やめようと思ったこともあります」。だが、仲間がいつも「戻ってこい」と励ましてくれた。「今はやめなくてよかったと思っています」。

 今は、数少ない先輩との夏を少しでも長く楽しもうと思っている。3年生はエースで主将の露木ら4人だけで、先発メンバーは2人だけ。下級生が中心に戦っている。だが、島田稔監督(39)は「少ない3年生が気持ちを切らさず見本をみせてくれている」と、団結力を強調する。

 2回戦では、この日に逆転勝利を収めた足利工と対戦。露木-中村の継投で、全部員の力を団結してぶつかっていく。【太田皐介】