実は、右足に打球を受けたのはこの日が初めてではない。中学3年の春、練習試合で右すねに打球が当たった。あまりの痛みに涙が出た。しかし当時の監督から「まだ投げられるのか?」と聞かれると「投げられます」と答えた。涙を流しながら続投した。

 北浦は「あまり覚えていないんです」と笑うが、母里美さん(49)は「家に帰ると右すねがパンパンに腫れていて。あの状況でよく投げたなと思います。なので、今日当たった瞬間も『あ、まただ。今回も大丈夫』と思いました」と語った。

 母の期待通り、バットでも4回裏2死満塁のチャンスで右前に2点適時打を放った。この回リードを7点に広げると、5回表を3者凡退に抑えて仕事を全うし、左翼の守備に回った。

 16日の3回戦では、足利工と対戦する。北浦は「足は問題ない。次はしっかり無失点に抑えます」と意気込んだ。エースがマウンドに立ち続ける限り、白鴎大足利は負けそうにない。【太田皐介】