今春の県大会王者、白鴎大足利(栃木)のプロ注目左腕、北浦竜次投手(3年)が、投打に躍動した。宇都宮北戦に「エースで4番」で先発。4回表の投球中に打球が右膝を直撃するアクシデントがありながらも、5回を2安打1失点に抑えた。打っても2安打3打点の活躍で、10-1の7回コールド勝ちに導いた。

 白鴎大足利の応援席が静まり返った。2点リードの4回表。宇都宮北の4番、伊沢清孝外野手(3年)が放った強烈な打球が、北浦の右膝を直撃した。右足を引きずり、苦悶(くもん)の表情を浮かべる。しかし、マウンド付近で治療を受けると、ベンチには下がらずそのまま投球練習を始めた。「当たった瞬間はすごく痛かったですが、すぐ治まりました」。

 幸い大事には至らなかったが、この回無死二塁のピンチを背負った。さらに犠打で走者を三塁に進められた。「前の回に点を取ってもらっていたので、絶対に抑えないといけない場面でした」と振り返る。

 続く打者を2球で投ゴロに抑えると、ここでギアをもう一段階上げた。この日最速の144キロ直球で押した。ファウルで粘られながらも7球目、低めのカーブで空振り三振に打ち取った。「あの時は力を入れて投げました。いい投球ができたと思います」と、淡々と振り返った。