“恐怖の9番打者”板坂拓海内野手(3年)が初戦突破の鍵を握る。4年ぶり17度目出場の日大山形は今日9日、明徳義塾(高知)との初戦を迎える。板坂は下位ながら打率4割と好調で、敵将馬淵史郎監督(61)からマークされるほどの存在だ。8日、西宮市内での練習でも快音を響かせた。

 徹底マークをかいくぐる。168センチ、64キロの小兵、板坂は明徳撃破に自信を見せた。「打線が投手の8番で終わることが多いので、自然と9番から始まる。自分が出ると打線がつながるし、山形ではその形で得点してきた」。50メートル6秒1の快足に加え、バントなどの小技も器用だ。山形大会決勝では4安打も放ち、チーム最多タイの8得点を誇る“恐怖の9番打者”が打線のキーマンだ。

 相手を研究して丸裸にする馬淵監督からは既に「くせ者」扱いされていた。6日の監督対談では、山形大会全5試合の研究を終えていた敵将に「相手の9番はええでぇ」と言わせた。荒木準也監督(45)からも「伏兵が鍵を握っている」と期待をかけられている。板坂は「自分もそう思う。持ち味は足。まずは塁に出てかき回したい」と意気込む。

 負けられない理由もある。兄の紘貴さん(21)は現在、系列の日大硬式野球部の4年生で、前回出場時の13年夏全国4強のレギュラーだ。弟と同じ「9番三塁」で先発し、準々決勝で明徳を撃破して準決勝に進出した。兄の試合は甲子園まで全試合観戦し、高校も兄と同じ道を選んだ。「お兄ちゃんを超えるために入学してきた。打順も守備位置も一緒でよく比べられるけど、兄にも明徳にも負けられない」と闘志を燃やす。