第1シードの静岡は、右ひじ痛を抱えていたエース春翔一朗投手(3年)が復帰し、昨春センバツと同じ背番号「18」でマウンドに立つ。1年秋から4番の成瀬和人内野手(3年)は、心身ともにたくましさを増した。投打に戦力充実の王者は、3年ぶりの春夏連続甲子園出場を狙う。

 右ひじの不安から解放された春が、引き締まった表情で言った。

 「ケガで迷惑をかけた分、少しでもチームの役に立ちたいです。初めてもらった番号が18番で、縁を感じます。『原点回帰』で初心に帰れると思います」

 昨年センバツ直前に、背番号18で初めてベンチ入りを果たし、その後、大きく成長した。1年後の今春センバツ1回戦では、駒大苫小牧(北海道)を84球で完封。全国的に注目されたが、大会前から右ひじに違和感があったという。「冬から気になっていて、かばいながら投げているうちにフォームを崩しました」。2回戦で東海大相模(神奈川)に敗れると、その後、1カ月はノースロー。5月初旬にキャッチボールを再開し、6月初めからブルペン投球を開始した。

 一方でチームは春季県大会を制し、東海大会でも1勝した。エースを争ってきた鈴木翔也(3年)に加え、草薙誠(3年)佐野冬弥(3年)も結果を残した。「他の投手が活躍して、焦りはありました。それを押し殺しながらやるのは大変でした」。複雑な思いを抱えながら、肩周りを中心にトレーニングを重ねた。結果、上半身がたくましくなった。「体重は変わりませんが、『大きくなった』と言われます」。

 6月16日の津田学園(三重)との練習試合で実戦復帰。2/3回で4失点を喫したが、「内容よりも、投げられたことが良かったです。すべては成功するための過程だと思っているので」。以降は徐々に投球イニングを増やしており、準備は整ってきた。「ケガをしている間、支えてくれた仲間、すべての人たちのために投げたいです」。

 目指すのは、春夏連続甲子園出場のみ。夏も輝く春となる。(おわり)【鈴木正章】

 ◆春翔一朗(はる・しょういちろう)2000年(平12)4月29日、浜松市生まれ。気賀小3年から細江野球スポーツ少年団で野球を始める。中郡中1年秋から投手。家族は両親と妹2人。右投げ右打ち。171センチ、68キロ。血液型A。